困っている子どもの背景が見えてくる『指導・支援ガイドブック』

(表紙) 困っている子どもの背景が見えてくる 指導・支援ガイドブック 大阪府教育センター 令和8年3月 (1ページ) はじめに 大阪府では、令和4年度以降、通級による指導の対象となる児童生徒数および通級による指導担当教員数が急増しており、現在も増加傾向が続いています。また、「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査(文部科学省2022年)」では、小学校・中学校の児童生徒の8.8%が「学習面又は行動面で著しい困難を示す」という調査結果が報告されました。 このような現状の中、支援教育にこれまであまり携わったことのない教員が、支援を必要とする児童生徒の指導・支援を担う可能性は、今後さらに高まると考えられます。実際に、「通級の指導に関するアンケート(大阪府教育センター2024年)」では、回答者のおよそ6割が、通級による指導担当年数が1~2年であるという結果が示されました。こうした状況を踏まえ、支援教育にはじめて携わる教員が、児童生徒の実態把握や指導・支援の視点、具体的な方法を知ることができるよう、本ガイドブックを作成しました。 本ガイドブックは、社会モデルの考え方を基盤とし、子どもが抱える困難を個人の特性に起因するものとして捉えるのではなく、学習環境や指導方法、周囲との関係性などとの相互作用の中で理解することを重視しています。そのうえで、まず環境調整などの工夫を行い、その後に子ども一人ひとりの状況に応じた指導・支援を進めていくことを基本としています。 本ガイドブックの特徴は、子どもの行動の背景(要因)に着目した実態把握と指導・支援の具体を提案している点にあります。子どもが示す行動のみを見るのではなく、「なぜだろう」と立ち止まり、行動に至った背景にも着目します。また、子どもが示す行動を「結果」として捉えるのではなく、「なぜかな」「どうしてだろう」と、教員が気づきのアンテナを高くもち、背景にある要因を多角的に考えることを大切にしています。 本ガイドブックが、子どもの実態把握や指導・支援の在り方を考える際の一助となることを願っています。 (2ページ) ガイドブックの使い方 〇このガイドブックは、子どもの行動の背景を基に、 具体的な指導・支援のヒントを掲載しています。 〇各ページには、 「子どもの姿」 「こんな様子はありませんか?」 「こんな指導・支援をしてみては」 「社会的自立に向けて」があります。 ①気になる子どもの姿を、もくじから見つけてください。 ②「こんな様子はありませんか?」から具体的な子どもの様子やその背景にある要因を確認してみましょう。 ③「こんな指導・支援をしてみては」を参考に、子どもの実態に応じて指導・支援を考え、実践してください。 ④「社会的自立に向けて」には、にがてを補う指導・支援、心理的側面への指導・支援のポイントを掲載しています。 (3ページ) ガイドブックの各ページの図 子どもの姿 「こんな様子はありませんか?」  子どもの姿に対する要因の例 □学校で見られる行動の様子や周辺環境 「こんな指導・支援をしてみては」 こんな様子はありませんか?に示されている要因に対する指導・支援の例 「社会的自立に向けて」 にがてを補う指導・支援、 心理的側面への指導・支援のポイント (4ページ) もくじ 〇はじめに…1 〇ガイドブックの使い方…2 ―子どもの姿25事例― 学習面 1.文字の形が整わない…6 2.板書を写すのに時間がかかる…8 3.音読がにがて 10 4.聞いてもすぐ忘れてしまう…12 5.教員(人)の話を聞いていない…14 6.算数・数学の文章問題がにがて…16 7.イメージすることがにがて…18 8.学習が定着しにくい…20 行動面 9.集中力が続かない…22 10.特定のことに集中しすぎる…24 11.衝動的な行動をする…26 12.思わず乱暴な言動をしてしまう …28 13.不注意な行動をする…30 14.不器用である…32 15.授業中に教室内を立ち歩く…34 16.教室に入りたいけれど入れない…36 17.授業中、教室から出ていく…38 (5ページ) 社会面 18.ルールの理解が難しい…40 19.場にそぐわない発言をする…42 20.自分の気持ちを伝えることがにがて…44 21.暴言をいう…46 22.相手の気持ちを考えて会話することがにがて…48 23.一方的に話すことが多い…50 24.ヘルプを出すことが難しい…52 25.自信がない・自尊感情が低い…54 ―コラムー 〇作業療法の視点からみた支援教育…56 子どものカラダの発達について〜作業療法士の視点から〜 関西福祉科学大学 教授 丹葉 寛之 〇小・中学校段階における指導・支援のポイント…58 「わたしだってできる!」をめざした支援 四天王寺大学 准教授 長澤 洋信 〇高等学校段階における指導・支援のポイント…59 高等学校段階の生徒への支援で大切にしたいこと 大阪大谷大学 教授 小田 浩伸 ◎子どもの姿25事例の要因に関連する自立活動の目標記入例…60 ◎索引…64 ◎本ガイドブックに関するリンク集…66 ◎参考文献…68 (6ページ) 1.文字の形が整わない こんな様子はありませんか? 姿勢保持に課題 □背中を丸めた姿勢で座ることがある □授業中、机に寝そべることがある □椅子の上で正座をしたり、膝を立てて座ったりすることがある 眼球の動きに課題 視空間認知に課題 □文字の大きさが整わないことがある □文字がマスからはみ出ることがある □文字を書くのに時間がかかることがある 注意・集中力に課題 □文字を丁寧に書くことが難しい □急いで書くことがある 不器用さがある □鉛筆の筆圧が整わないことがある □はさみなどの道具を使うことが難しいことがある □書くこと自体がにがて こんな指導・支援をしてみては タンデム(継ぎ足)歩行(バランストレーニング) 姿勢保持に課題 背筋を伸ばして座るには、体幹や腹筋・背筋の働きが重要です。これらの筋力や柔軟性、調整力を強化する必要があります。また、無理なく姿勢を保つためには、椅子に姿勢補正用のざぶとんやクッションなどを設置する方法があります。  調整力にアプローチする簡易な方法として、タンデム(継ぎ足)歩行があります。色つき養生テープ2mを床に貼り、その上を左右の足のつま先とかかとを交互につけながら歩きます。はじめは足の動きを確認しながらゆっくりと歩きます。慣れてきたら下を見ずに歩くようにしましょう。前歩きができるようになったら、後ろ歩きにも挑戦してみましょう。 (7ページ) 文字見つけ・言葉見つけ(眼球運動トレーニング) 眼球の動きに課題 視空間認知に課題 注意・集中力に課題 文字や言葉を探すことを通して、眼球の動きだけでなく、注意・集中の力を高めます。 事前に文字や言葉をランダムに書き込んだプリントを用意し、対象の文字や言葉を見つけていきます。 眼球の動きや注意・集中の力だけでなく、語彙力や言葉を分類する力も身につきます。 正しく鉛筆を持とう(手指機能トレーニング) 不器用さがある 正しく鉛筆を持って操作するためには、感覚を学ぶことや力加減を知る必要があります。特に、指さきの力加減が重要となります。 指さきの力加減を知るために、持つところが広めの洗濯バサミを親指と、ひとさし指または中指で20回開閉してみましょう。 また、鉛筆グリップや三角鉛筆などの補助具で支援することで、正しい持ち方を理解しながら書く練習ができます。 【社会的自立に向けて】 文字が整わないことで、子どもは困っていますか?先生に文字を読んでもらえないと言いたいことが伝わらない。自分で書いたノートの文字が読めない。きっと困ることになりますね。文字を書く練習をする場合は、まず、簡単な図形の模写から始めましょう。形を捉える力は文字を書くことの基礎となります。一方で、急いで 書くクセがあるなど、実は丁寧に書くことができるのに書いていない場合は、正しく読んでもらえずに困る(意図が伝わらない)ことがあると、気づけるような促しも必要かもしれません。 将来的には、書く以外にもICTや音声入力など代替 手段の活用も視野に入れ、自分に合った方法で情報を 表現できる力を育てることも、社会的自立への一歩と なります。 (8ページ) 2.板書を写すのに時間がかかる こんな様子はありませんか? 眼球の動きに課題 □板書を写す際、頭が縦によく動いている □板書を写す際、疲れやすい 視覚的短期記憶に課題 □どこまで写したかわからなくなることがある □文字を一つずつ書き写している 成功体験が少ない □書くこと自体ににがて意識がある □何度も書き直しをする 環境設定が十分でない □時間内に書き終えられないことがある □書いている途中で気が散ることがある こんな指導・支援をしてみては ビジョントレーニング(眼球運動トレーニング) 眼球の動きに課題 ノートと黒板を交互に見る視線の動きや眼球の素早い動きの練習として、同じ形(文字)探しや、点つなぎなどの課題に取り組んでみましょう。 また、棒に差した小さな人形の動きを目だけで追う、電子黒板などに一定時間提示した物の色や形を注視して覚えるなどの取組みは、追視や注視の練習になります。 その他、右イラストのように顔を動かさずに指さきを 見ます。上下左右、斜めに大きく目を動かしましょう。 板書の視写に時間がかかる場合は特に、眼球を縦(上下)に動かす取組みが効果的です。 (9ページ) 暗記クイズ(視覚的短期記憶を高める指導) 視覚的短期記憶に課題 黒板に書いた文字と数字の組み合わせ(「6あ」「5ま9」 など)を覚え、書き写す取組みです。文字や数字を視覚的に 認知し、まとまりで覚える練習になります。「とうもろこし」 のように意味のある言葉はイメージしやすく覚えやすいため、 ランダムに組み合わせた文字や数字を見て覚えることを促します。 得意な方法を生かす(長所活用型指導) 成功体験が少ない 自信を失っている場合は、本人、保護者と相談したうえで、板書を写す、文字を書くといったことから離れることも大事です。板書計画を見て授業内容を理解できればOKとしたり、タイピングに切り替えたり、選択肢から選んで〇をしたりするなど、「文字を書くこと」よりも「理解すること」を優先させましょう。自尊感情を高め、子どもが自ら書いてみようと思うことを促します。 教室環境・教材を見直す(学習環境の工夫・合理的配慮) 環境設定が十分でない 書く量、時間の設定、座席、文房具や教室の環境など子どもが学びやすい環境を見直しましょう。板書の工夫として、行間を大きく空ける、イメージ画像(教科書の挿絵など)を添えるなどがあります。また、重要な箇所を枠で囲む、書き写す箇所に矢印カードを貼るなどの工夫も効果的でしょう。さらに、マスの大きいノートや穴埋めプリントにして書く量を減らす、板書計画をノートの横に置いて写すなどもよい でしょう。 使いやすい文房具や補助具などを用いて、書くことに集中 できる環境を整えることも有効です。 【社会的自立に向けて】 板書を写すのに時間がかかる子どもが学習内容を理解するために、板書の補助(写真撮影、配付資料、ICT活用)を柔軟に取り入れることが大切です。 社会に出ると、素早くメモを取ることより、伝えられた内容を理解する(覚えておく)ために必要な手段を身につけることが重要となってきます。子どもの強みを生かし自分でできる力を習得することで、「自分もできる!」という自己効力感を育むことにつながります。 (10ページ) 3.音読がにがて こんな様子はありませんか? 眼球の動きに課題 視覚認知に課題 □行などを読み飛ばすことがある □読み間違うことがある □見えにくそうにしている 流暢に読むことに課題 □読むことに時間がかかることがある □読みにくい文字(カタカナ・漢字など)がある 語彙力に課題 □言いたいことがうまく伝えられないことがある □最初の文字を見て言葉を推測して読み、読み違いをすることがある 言葉や音を捉える力に課題 □途切れ途切れに読むことがある (逐次読みをする) □音読み訓読みを間違えることがある □聞き間違うことがある こんな指導・支援をしてみては 眼球で文字を追いやすくする工夫(学習環境の工夫・合理的配慮) 眼球の動きに課題 視覚認知に課題 子どもが文字や行を追いやすくするためには、指でなぞったり、定規を横に置いたり、 リーディングトラッカーを使用したりするなどの手だてがあります。最適な方法を子どもと一緒に探しましょう。 また、視覚機能を高めるためのビジョントレーニングを 取り入れてみましょう。 リーディングトラッカーの図 リーディングトラッカー (11ページ) 「声に出すこと」「読んで意味を理解すること」を分けて学習 (音読と意味理解を分離した段階的指導) 流暢に読むことに課題 教員の範読やデイジー教科書などの音声教材などにより、子どもがリズムやイントネーションを聞いて真似をすることで、覚えていない文字や発音や読み方を身につけられるようにします。音読が安定してきてから、文章の意味理解に進むなど、段階的に取り組むと効果的です。 ことばゲームで語彙を増やす(語彙力向上に向けた指導) 語彙力に課題 「言葉カードでかるた」「絵と言葉を結びつけるカードゲーム」などで語彙を増やしていきましょう。無意味な文字列の中に、「動物の名前」「教室にある物」などのテーマを決めた言葉を見つけるゲームは、言葉のまとまりを捉える力につながります。 楽しみながら言葉を学ぶ(音韻理解に向けた指導) 言葉や音を捉える力に課題 しりとりや音の並び替えなど、ゲーム感覚でできる取組みは、子どもが積極的に参加しやすい方法の一つです。 言葉を発しながら手をたたく、促音でグーにするなど言葉を動作化する取組みや、音の数だけ石を並べて、促音がどこだったかを当てるゲームなど言葉を視覚化する取組みにより、楽しみながら言葉を学ぶことができます。 【社会的自立に向けて】  大人に近づくにつれて、資料やメール文章など、自分で読んで理解しなければいけないことが増えていきます。少しでも読みやすい方法は何かを見つけ、対処できる方法を身につけましょう。資料なら、指やペンをあてながら読む、パソコンなら、ドラッグして色をつけるなどの方法があります。 また、読んだ内容の理解に自信がない場合は、友だちや先輩、上司などに確認する、口頭で説明してもらうように相談しておくことも読みのにがてさを補う方法の一つとなります。 (12ページ) 4.聞いてもすぐ忘れてしまう こんな様子はありませんか? 言葉を聞き取る力 注意・集中力に課題 □人の話を聞けていないことがある □聞き返しをすることがある □指示を聞き間違えることがある 語彙力に課題 □指示や会話の理解が難しい □言葉の意味を誤って使うことがある 短期記憶・長期記憶に課題 □聞いた内容を忘れていることがある □聞いたことを覚えておくことがにがて こんな指導・支援をしてみては 何と言ったかな?(聞き取る力の基礎指導) 言葉を聞き取る力 注意・集中力に課題 語彙力に課題 特に、小学校1年生の間に取り組んでほしい言葉遊びです。教員が言った言葉を、ノートやホワイトボードなどに書いていきます。「しまうま」のように、清音から始め、少しずつ、撥音、長音、促音、拗音、拗長音、拗促音と特殊音節も混ぜてレベルアップしていきます。 「はっぱ」や「きゃべつ」のように 特殊音節が一つ入るものから、徐々に 「ちょうちょ」のようにレベルを上げ ます。様々な言葉と音を合わせること で、語彙を増やすことにもつながって いきます。 (13ページ) 言葉、何個聞こえたかな?(聞き取る力の応用指導) 言葉を聞き取る力 注意・集中力に課題 「せーの」の合図で、2人が同時に「いるか」「うさぎ」のように別々の言葉を言います。 それぞれが何を言ったか聞き分けて答えます。注意して聞くこと、聞いた言葉を記憶することがポイントとなります。できるようになったら、3人や4人に増やしてみましょう。 覚えて文づくり(聞いて覚える指導) 短期記憶・長期記憶に課題 「今日のキーワードは3つです。『山・緑・木』です。キーワードを使って、文を作りましょう」などの発問をします。文をつくることは、「話す」ことの前段階の取組みとして有効です。 短期記憶を使って覚えたキーワードを、これまでに経験したことや知識などの記憶(長期記憶)と結びつけながら文をつくる経験を積んでいきます。3つのキーワードは、子どもたちの発達段階に合わせて考えましょう。 【社会的自立に向けて】 プリントの提出期限を過ぎても出せない子どもは、聞いてもすぐ忘れてしまっているのかもしれません。忘れているのなら、どうしたら忘れないのかを子どもと一緒に考えましょう。その方法は、子ども自身が(一人で)できることが原則です。 例として、 □プリントを提出日の前日までに学校へ持ってきておいて提出日に提出する □教員(友だち)と一緒に提出する(一人では難しい場合) □スマートフォンのリマインド機能を活用し、提出日などをメモしておく  などがあります。また、プリントを提出する必要性を子どもがどれだけ理解しているかも、とても重要なポイントです。必要と感じていないものは誰でも忘れていくものです。スマートフォンなど子どもが大切だと感じているものは忘れることはないと思います。 「これはできるけど、こっちはできない」 理由は何だろうと、子どもと会話してもよい かもしれませんね。 (14ページ) 5.教員(人)の話を聞いていない こんな様子はありませんか? 注意・集中力に課題 □ボーっとしていることがある □一斉指示を聞き逃すことがある □忘れ物をすることがある □特定のことに集中しすぎることがある 聞く力・聴覚的短期記憶に課題 □指示を何度も聞き直すことがある □名前を呼ばれても気づかないことがある □複数の指示を覚えることがにがて 語彙力・イメージする力に課題 □相手の考えを理解することが難しい □聞いたことを理解することが難しい □聞いたことと行動を関連づけることが難しい 見通しを持つことが難しい □期限を守ることが難しい □物事を順序よく進めることが難しい こんな指導・支援をしてみては 座席は教員がフォローしやすいところに(学習環境の工夫・合理的配慮) 注意・集中力に課題 名前を呼ぶなど子どもの注意をこちらに向けてから、伝えたいことを「具体的に」「肯定的に」「短く」伝えます。また、言葉だけでなく写真やイラスト、具体物を提示することも効果的です。 例えば、「書」カード 「聞」カードまたは「鉛筆」カード 「耳」カードなどの文字や絵カードを黒板などに提示することで、「今は何をする時間なのか」がわかりやすくなります。 教員が口頭で注意しなくても、子ども自身が気づいて行動できることにもつながります。 (15ページ) スリーヒントクイズ(聴覚的短期記憶向上に向けた指導) 聞く力・聴覚的短期記憶に課題 3つの短いヒントを聞いて、イラストの中から当てはまるものを答えます。他に「伝言ゲーム」、「〇で始まる言葉さがし」などもあります。言葉でのコミュニケーションを楽しみ、アレンジしながら意欲的に取り組むことは、一時的に覚えたことを操作するため、ワーキングメモリ※を鍛えることにもつながります。 ※必要な情報を一時的に記憶して処理する能力 歌詞の意味、わかりますか?(イメージを広げ、言語化する指導) 語彙力・イメージする力に課題 「歌詞をよく聞いてみよう。後で歌詞の意味を教えてください」と問いかける課題です。この課題には、①よく聞いて、②意味を理解して、③人に言葉で伝える(言語化)という3つの工程があります。 特に②の意味理解では、どのように考えたかを子どもに聞いてみてください。「情景をイメージした」「自分に置き換えて考えた」など、イメージをつくるプロセスの特徴も見えてくるかもしれません。 黒板に一日の予定・机上に授業スケジュール!(スケジュール管理の支援) 見通しを持つことが難しい 今やること、次にやることがわかると、見通しがもちやすくなります。プリントなどの提出期限をわかりやすいところに示しておき、この掲示を見る習慣を身につけましょう。目的達成に向け、自分で計画を立てる力にもつながります。また、すべての教室で同じ位置に掲示すれば、学年が変わっても同じように確認することができます。 【社会的自立に向けて】 「聞く力」は社会的自立に欠かせないスキルであることを子ども自身が理解し、自ら伸ばしていけるよう支援します。まずは、話を聞きやすい環境づくりや、注意すべきポイントに気づけるよう促します。視線・姿勢・相づちなどの聞き方のスキルを段階的に身につけるとともに、自分に合った聞きやすい環境を把握したり、キーワードを見つけたり、必要なことをメモしたりするなど、主体的に情報を得る力を育てます。 (16ページ) 6.算数・数学の文章問題がにがて こんな様子はありませんか? 数の概念に課題 □数唱はできるけれど、数量をイメージすることが難しい 情報処理に時間がかかる □図形やグラフ問題がにがて 算数・数学における読解力に課題 □文章を読んで数式を立てることが難しい 論理的思考力に課題 □四捨五入がにがて □数式を立てることが難しい □順序立てて説明することがにがて □比較する問題がにがて こんな指導・支援をしてみては 算数・数学の概念に慣れよう(数の概念の指導) 数の概念に課題 数の概念には、順番をあらわす序数性と量をあらわす基数性があります。しかしそれらの違いを理解することが難しく、文章問題が解けない子どもがいます。 つまずきのポイントを明らかにし、すごろくや線分図などを使って数の概念を理解することが大切になります。 文章を絵(図)に描いて表そう(イメージ化に関する指導) 情報処理に時間がかかる 文章を読んで、絵や図で表現して場面を視覚化します。例えば、子どもが何人いるかを問われる問題では、実際に棒人間を描いて数えることで理解が深まります。文章を図式化できると、式を立てやすくなります。最初は教員と一緒に考え、次第に子ども自身が一人でできるよう、スモーステップで取り組んでみてください。 (17ページ) 簡単な文章から始めよう(文章読解に関する指導) 算数・数学における読解力に課題 まずは、短くてやさしい文章から取り組み、文章への抵抗感を減らします。慣れてきたら、少しずつ長い文章や、内容が複雑な文章にも挑戦してみましょう。  その際、最初に身につけた解き方を忘れず、応用できるように段階的に進めることが大切です。 また、算数・数学の文章問題には、国語とは少し違う言い回しがあるため、言葉に慣れることも必要です。日常的に短い算数・数学の文章を読んだり、興味のある短い物語を読んだりして、文章を読むことへの抵抗を減らし、読む力を高めていきます。 文章問題でよく使われる言葉の例 高い・低い あわせて 深い・浅い 半分 キーワードを見つけよう(文章読解に関する指導) 論理的思考力に課題 文章の中にある「ふえる」「へる」「ちがいは」など、式を立てるために必要なキーワードを見つける練習を繰り返し、問題を読み解く力をつけます。 視覚的に分かりやすくするために、キーワードにマーカーを引くなどの方法が効果的です。 また、問題文を短く区切ることや、絵・図や表を使って視覚化することも有効です。 問題)連続する3つの整数がある。最も大きい数を3倍すると、残りの2つの数の和を2倍した数より4小さいという。最も大きい数を求めなさい。 【社会的自立に向けて】 算数・数学の文章問題がにがてな子どもには、絵や図を使って状況を視覚化することやキーワードに線を引く・文章を分けて読むなど、具体的な読み取りの支援が大切です。また、算数・数学の考え方を生かして、自分の考えを筋道立てて言語化する学習は、「順序立てて考える力(論理的思考力)」や「イメージを図式化する力」など、発想を広げアイデアを形にする力につながります。  一方、算数・数学の文章問題がにがてな子どもは、何でつまずいているか原因がわからないことがほとんどです。教員がつまずきの段階を把握し、具体物やイメージ図などを使いながら、本人が十分に理解できるように、じっくり取り組むことが大切になります。 (18ページ) 7.イメージすることがにがて こんな様子はありませんか? ルールを理解することが難しい □暗黙のルールを理解することが難しい □周囲の状況を理解することが難しい 短期記憶・長期記憶に課題 □聞いたことをすぐに忘れることがある 根拠を見つけ出すことが難しい □見たこと、思いついたことを話すことがある □「なぜ?」という理由を考えることがにがて 時系列で考えることが難しい □順序立てて考えることが難しい □情報を関連づけることが難しい こんな指導・支援をしてみては ルールに気づくSST(ソーシャルスキルトレーニング) (社会性を育む指導) ルールを理解することが難しい 身近な出来事を使ってSSTの課題を設定するようにします。なぜそうなったか、どうすればよかったのかを一緒に考え、疑似体験などを通して、知識を増やし、自ら考えて行動する習慣を身につけることが大切です。 なお、ルール以外の情報が多く、結果としてルールに気づきにくい場合も考えられるため、環境に気をつけましょう。 (19ページ) SSTの課題の例 さとしさんがAさんにお兄さんを紹介しました。 Aさんは、挨拶の前に『お兄さんは太っているね。』 と言ったので、お兄さんは怒って行ってしまいました。 ①なぜ、お兄さんは怒って行ってしまったのでしょうか? ②Aさんは、どうしたらよかったのでしょうか? 聞いて考えよう(聴覚情報を整理して考える指導) 短期記憶・長期記憶に課題 聞いた文章を頭の中で整理し、答えを導く練習です。聞いたことを頭の中で図としてイメージすると答えを導きやすくなります。覚えたことを頭の中で操作して答えるため、ワーキングメモリを鍛える取組みにもなります。 授業の中でトレーニング(理由や証拠を考える指導) 根拠を見つけ出すことが難しい 授業の中で意見を言うときには、「〇ページの〇行めに〇〇と書いているので、〇〇だと考えます」というような決まった言い方で答えるよう指導します。物語文でクイズ大会をするなど、子どもの興味関心が高まるような工夫をしながら継続的に取り組むことが重要です。 日ごろから根拠を見つけ出す力を育てることで、論理的思考が高まることが期待できます。 絵カードで順番を考えよう(前後関係を考える指導) 時系列で考えることが難しい 絵カードを見て、時系列に並び替えます。どうしてそのように考えたのかを説明できるとよりよいでしょう。思いついたことをそのまま伝えるのではなく、考えたことを頭で整理(イメージ)して話す力につながります。 【社会的自立に向けて】 社会生活においても「根拠を基に思考する」ことは重要なポイントの一つです。「なぜそうするのか」「どんなルールや基準にそって判断したのか」といった理由を理解し、考える習慣をつけることで、社会生活でも役立つ力が育ちます。 また、コミュニケーションの場面においても必要な力です。日頃から、前後の文脈や関係性を意識した会話を促す指導を心掛けてみましょう。 (20ページ) 8.学習が定着しにくい こんな様子はありませんか? ワーキングメモリに課題 □学んだ内容を活用することが難しい □見たり聞いたりしたことを覚えておくことがにがて 長期的な記憶への移行が難しい □時間が経つと忘れることがある □覚えること(覚えるために行う練習)がにがて □学習したことをエピソードと結びつけて記憶することが難しい 学習環境に課題 □「できない」「わからない」など困っていることを伝えることが難しい □子どもが安心して学習に取り組めないことがある (座席の配置、教室の温度や照明、音の大きさ、学習に必要な教材や道具) □課題が難しすぎる、もしくは簡単すぎる可能性がある こんな指導・支援をしてみては 単語いろいろ覚えてゲーム(ワーキングメモリに関する指導) ワーキングメモリに課題 5つ程度の単語を言葉で伝えた後「3つめに言った単語は?」とたずねます。一度記憶したことを呼び戻す言語性ワーキングメモリの取組みです。野菜や動物など関連した単語の方が、はじめは簡単かもしれません。その他、文字や図の位置関係を見て覚えるなどは、視空間性ワーキングメモリへのアプローチになります。 聞いて覚える能力 →言語性ワーキングメモリ 見て覚える能力 →視空間性ワーキングメモリ (21ページ) 「大切ポイント」覚えてるかな?(短期記憶・長期記憶に関する指導) 長期的な記憶への移行が難しい 授業の最後に子どもと一緒に確認しましょう。声に出す、記述するなど、子ども自身がアウトプットできる機会を設定します。また、語呂合わせやフレーズをつけることで、覚えやすさにつながります。学習活動を次の活動に関連づけ、学んだことを生かすなど、取組みの方法を工夫しましょう。 「あっ、これ知ってる!」 「前にやったことと似てるかも……!」 学習を振り返り生かすことができていたら、 定着への前進です! 子どもの実態に応じた教材(学習環境の工夫・合理的配慮) 学習環境に課題 罫線の幅や素材・色覚に配慮したノート、三点持ちがしやすい鉛筆、軽い力で消すことができる消しゴムなどがあります。身体の状態に適した用具は書字や作業に伴う負担を減らし、集中しやすい状態をつくることにつながります。 また、動画など、視覚的な情報が理解しやすい子どもの場合、ICT機器(動画教材、音声読み上げ、カメラなど)を活用することも有効です。 授業構成の再検討 子どもが課題に集中できる時間はどれくらいでしょうか。子どもの実態に応じて、話を聞く時間、プリントに取り組む時間の配分を工夫しましょう。授業にメリハリが生まれ、短時間からでも、子どもの集中を引き出すことができます。教員の支援の程度にも工夫が必要です。子どもが何に困っていて、自分でできることと教員からの支援が必要なことは何なのか、またどこまで支援が必要なのかなどを理解し、子どもの力を存分に発揮できる ように指導・支援を行ってください。 【社会的自立に向けて】 学習が定着しにくい子ども一人ひとりが、 自分の認知特性や興味関心を認識し、強みを 生かし、弱みを軽減するスキルを身につける ことが大切です。 指導内容は具体的で視覚的にわかりやすく、繰り返しや体験的な活動を通じエピソードとして記憶に落とし込みながら理解を深める工夫が効果的です。 また、学習が定着しにくい子どもは、自分にとって効果的に学ぶことができる方法が理解できていないことが多いです。どうしたら覚えやすいのか、自分に合った学び方を子どもと一緒に考えてみましょう。 (22ページ) 9.集中力が続かない こんな様子はありませんか? 感覚の過敏性・鈍感性がある □音や光などの刺激に対して反応しやすい □他の子どもとの接触にストレスを感じやすい 姿勢保持に課題 □座位の姿勢が崩れることがある □身体が疲れやすい 見通しを持つことが難しい □活動の内容や、時間を理解することが難しい 課題設定が適切でない □課題に取り組むまでに時間がかかる  ことがある □集中を続けることが難しい □注意が他の活動に向くことがある こんな指導・支援をしてみては 情報・刺激の量を調整し、環境を整える (学習環境の工夫・合理的配慮) 感覚の過敏性・鈍感性がある 学習するスペースは、視覚的な刺激をなるべく減らし、落ち着いた気持ちで取り組めるようにしましょう。子どもの視線の向く側がすっきりした空間になるよう教室のレイアウトを整える、棚などが雑然としてしまうときは、カーテンなどで隠すといった工夫をしましょう(特に過敏性への配慮)。 活動に「動」と「静」を取り入れ、メリハリをつけることで刺激を感じやすくすることも有効です(特に鈍感性への配慮)。 本人が自分の感覚特性について理解できるようになってきたら、集中して学習に取り組みやすい環境を自ら調整できるように、働きかけるとよいでしょう。 (23ページ) 体幹やボディイメージを育てる活動(集中力の基礎を高める指導) 姿勢保持に課題 姿勢保持と集中力には関連性があり、集中力向上のためには体幹やボディイメージを高める活動が重要です。縄跳びやストレッチボール、トランポリンなどの全身運動ができる道具を使って、身体を動かします。また、いろいろな道具を組み合わせてサーキットトレーニングを行うことで姿勢保持力が向上します。 手押し相撲や片足立ちでポーズをとるなど、教員と一緒に 身体を動かす時間を設定し、楽しみながら身体を動かす活動 も効果的です。 本日の活動内容を視覚的に示す(学習環境の工夫・合理的配慮) 見通しを持つことが難しい その日の課題の内容が分かるように視覚化しておきましょう。ただし、その情報に過敏に反応してしまう場合は、口頭で説明するにとどめておきます。また、教員が設定したいくつかの課題の中から、子どもが自分で選ぶようにするのも効果的です。 「はじめ」と「おわり」を明確に! 課題の量や内容を調節する(学習環境の工夫・合理的配慮) 課題の設定が適切でない 子どもが課題や活動にどれくらい集中して取り組むことができるのかなど、実態把握をする必要があります。実態に合わせて活動を短く区切るなどの調整をし、課題に取り組んだ中で、達成感を持てるようにします。 また、最後は「できた」と思って終われるように、いくつか課題を提示し、取り組む順番や内容を自分で選択できるようにするなど、課題の設定を工夫することが大切です。 【社会的自立に向けて】 子ども自身が、自分の集中できる時間や環境を把握し、無理のない範囲で成功体験を積み重ねることが大切です。一方で、いくら集中するように伝えても、子どもが活動内容の目的や意義を理解していないなら、どんなに環境が整っていても集中を持続することは難しいと思います。「何分まで」「このプリントを仕上げるまで」など、見通しを明確にしながら、できたことをフィードバック(意欲を引き出す評価)し、集中できた成功体験を重ねていくことが大切です。 (24ページ) 10.特定のことに集中しすぎる こんな様子はありませんか? 集中力の極端な偏り(過集中) □特定の興味や活動に過度に集中することがある 興味関心の偏り □特定の分野や活動に強い興味を持ち、 興味関心の幅を広げることが難しい 見通しを持つことが難しい □優先順位をつけて活動することがにがて □特定のことに時間を多く使うことがある 自己コントロールがにがて □特定の興味や活動に過度に集中し、生活リズムに影響が出ることがある こんな指導・支援をしてみては タイマーの活用(学習環境の工夫・合理的配慮) 集中力の極端な偏り 興味関心の偏り 「一つのことに集中できること」は強みでもあります。しかし、健康や生活に影響が出る場合は、改善する必要があります。 タイマーを活用することは、過度に一つのことに時間を使いすぎることを避け、休憩を取ったり、他のことに切り替えたりするきっかけになります。 「もう時間だから終わりなさい」と大人に言葉かけされると気持ちの切り替えが難しく、ゲームをやめるのに時間がかかっていた子どもが、「自分でタイマーを設定する(終了予告と終了の2回)」ことに取り組むと、アラームの音を聞いて、自らゲームをやめることができたという事例があります。気持ちの切り替えを意識するために、効果的な方法の一つです。 (25ページ) 目標の設定(自己管理に関する指導) 見通しを持つことが難しい 進学したい学校や、やってみたいクラブ活動、将来なりたい職業などについて、一緒に調べたり、選択肢を示したりすることが大切です。目標に向かって今、何をすべきなのか、子どもが意識するきっかけになります。 トークンシステムの活用(自己管理に関する指導) 目標があることで、見通しを持って行動できるようになります。 ミッションを達成するとポイント(シールやスタンプ)が貯まっていく トークンシステムも効果的です。 自分でスケジューリング!(自己管理に関する指導) 自己コントロールがにがて 「やること」と「順番」がわかれば、自分で確認して行動しやすくなります。 例えば、宿題 時間割 間食(おやつ)ゲームなどと書いたマグネットシートをホワイトボードに貼り、自分で計画を立てることで、家での生活を調整することができます。 入浴やはみがきがにがてだとしても、「自分で決めたスケジュール」に組み込むことで、納得して取り組めるようになることもあります。学校生活の様々な場面に応用することもできます。 【社会的自立に向けて】 特定のことに集中しすぎる子どもには、興味や得意分野を生かしつつ、柔軟な思考や対人スキルを育むことが大切です。特定のことに集中しすぎることで、名前を呼ばれていることに気づけず、話を聞いていないと誤解されてしまったということもありえます。集中しすぎてしまうことで、周囲の状況がわからなくなってしまうことがあるなど、自身を客観的に理解することから始めましょう。 対象によって集中できたり無関心になったりするアンバランスさが、学校生活や社会生活においてどのような影響があるかを想定しておくこともよいでしょう。 経験や周囲との関わりを通じて視野を広げ、自己理解と他者理解を深める支援が重要です。 予定変更への対応や選択肢の提示などを通じてこだわりへの対応力を養い、安心できる環境を整えることがポイントです。 (26ページ) 11.衝動的な行動をする こんな様子はありませんか? 姿勢保持に課題 □同じ姿勢を保つことが難しい □身体が疲れやすい 抑制の力に課題 □順番を待つことがにがて □行動の切り替えが難しい 感覚の過敏性がある 環境設定が十分でない □よそ見をすることがある □いろんな刺激に反応することがある □窓の外やろうかの様子が気になることがある □周囲との関わりの中でトラブルが生じることがある こんな指導・支援をしてみては 手押し相撲(姿勢保持力やバランス調整力に関する指導) 姿勢保持に課題 まず、2人が立つ位置に線を引きます。そして、線の位置につま先を合わせて向かい合わせに立ちます。それから、手と手を合わせて押し合い、相手の足が動いたり大きく姿勢が崩れたりしたら勝ちです。姿勢の調整力と集中力などが身につきます。 意図せず身体が動いてしまう子どもには、自分で身体の動きを調整する取組みが効果的! (27ページ) 安心できる支援と呼吸法(学習環境の工夫・合理的配慮) 感覚の過敏性がある 聴覚過敏がある場合、イヤーマフやデジタル耳栓などで音刺激を軽減します。 視覚過敏がある場合、色覚補助メガネなどで光刺激を軽減します。いずれも保護者の理解と協力を得ながら検討してください。 また、安心できる状態で、リラックスするための呼吸法(例えば、息を鼻から4秒吸って、口から8秒かけて吐くなど)や運動をすることも効果的です。その場での伸びや深呼吸など簡単な動きでリフレッシュすることが、気持ちの向上につながり、安定した心理状態につながります。 だるまさんが転んだ(行動調整に関する指導) 抑制の力に課題 昔遊びの一つです。鬼の行動を見て止まる、また走るという行動には抑制の力が必要です。もし、一番になることにこだわりがある場合は、順位以外の目標を設定したり、ルールを変更したりすることも効果的でしょう。 「手が重なったら拍手」などの遊びは、同じ目的ですが一対一でも取り組める課題です。 子どもの行動を予想してよい行動を増やそう(行動調整に関する指導) 環境設定が十分でない まず、子どもの行動を記録し、何が原因であるかを考えます。原因を考える際は、行動の前後の状況を分析し、「きっかけ」「行動」「結果」に分けてみましょう。そうすることで原因が見えてくるかもしれません。原因がわかったら、より落ち着いて行動ができるように、きっかけを防ぐ取組みなど、環境調整をどのように工夫するのかを考えましょう。 また、よかった行動はどのようなときだったかを考えることも大切です。よかった行動はすぐに子どもにフィードバック(意欲を引き出す評価) すると、望ましい行動への意識づけにつながります。 きっかけ→行動→結果 【社会的自立に向けて】 周囲とうまくいかなかった経験が重なることで、自己肯定感が下がることがあります。どんな行動が失敗につながるのか、また自分が見えている景色と他の人が見ている(感じている)景色は何か違いがあるのかなど、全体を俯瞰的に捉えて考える時間を意図的に設けることは、自己理解を深めるとともに、よりよい行動を選びやすくなる意識につながります。感情のコントロールを学ぶ機会を日常に組み込み、成功体験を積むことを通じて自己肯定感を育むことが大切です。 (28ページ) 12.思わず乱暴な言動をしてしまう こんな様子はありませんか? 抑制の力に課題 □怒りや不安を感じた際に 気持ちを整えることが難しい □行動が先に出ることがある ストレスや不安が強い □環境の変化に対応するのがにがて □対人関係でストレスを感じやすい 自分の気持ちを伝えることがにがて □「嫌だ」「困っている」といった感情を伝えることが難しい 感覚の過敏性・鈍感性がある □音や光、触覚などの刺激に敏感 □距離感をつかむことがにがて □力の入れ具合を調整することが難しい こんな指導・支援をしてみては 感情を認識し言葉で表現しよう(感情理解に関する指導) 抑制の力に課題 「かなしい」などの感情が文字で書かれたカードや表情が書かれたイラストなどを用いて自分の感情や相手の感情を理解する練習をしましょう。 例えば「怒ったときにどう感じる?」と聞いて具体的な言葉で表現するようにしましょう。また、自己抑制の方法について一緒に考え、衝動が抑えられた際には、褒めるようにすることで行動改善への意欲を高めることができます。 (29ページ) SST(ソーシャルスキルトレーニング)で人とのかかわり方を 学ぼう(コミュニケーションに関する指導) 自分の気持ちを伝えることがにがて 自分の感情を相手に伝える課題に、繰り返し、取り組む機会を設定します。その際は、具体的な伝え方を示すようにしましょう。 表情やジェスチャーなどを使った意思表示の練習や、困ったら「手を挙げる」など簡単な代替行動を提示することも有効です。 自分を知ろう(自己理解に関する指導) ストレスや不安が強い 自分がどんなときに不安やストレスを感じるのかを振り返る時間を設けましょう。また、ストレスを感じたときの対処法(深呼吸をする、ボールを握るなど)や不安を感じたときに相談する方法について一緒に考えてみましょう。また、いつでも相談できる人(場所)があることも、安心できる要素の一つです。 感覚のバランスを整えよう(感覚統合に関する指導) 感覚の過敏性・鈍感性がある バランスボードやストレッチボールを活用してバランス感覚を養い、全体的な感覚のバランスを整えましょう。砂や粘土を使った活動を通して触覚、音楽に合わせた動きや遊びを通じて聴覚にアプローチすることができます。また、重いものを持ったり、強く押したりするような負荷のかかる活動も、感覚を高めるのに効果的です。 子どもが楽しみながら活動できるものを活用することで、継続して取り組みやすくなります。 【社会的自立に向けて】 思わず乱暴な言動をしてしまう子どもは、感情を適切に表現し、衝動をコントロールする力を育てることが大切です。まずは正しい伝え方(言葉・ジェスチャー・相談)を教え、成功体験を積み重ねることで自己調整力を高めます。自分がこうしたら相手はどうなる……など、他者の感情の理解や関係性の築き方、困ったときに助けを求める力を育むことが、社会の中で安心して生活する基盤となります。また、自分に自信がない気持ちから、乱暴な行動をしてしまう子どももいます。トラブルが起こったときだけ指導するのではなく、落ち着いた状態で自分を俯瞰的に捉えられるような場面設定も有効です。他者に認めてもらう経験も含めて、心を育てることがポイントです。 (30ページ) 13.不注意な行動をする こんな様子はありませんか? 注意・集中力に課題 □他のことに興味がそれることがある □興味のあることには集中できる □ボーっとしていることがある 感覚の過敏性・鈍感性がある □音や光などの刺激に反応しやすい □他者との接触にストレスを感じやすい □他者より遅れて行動することがある 自己管理能力に課題 □持ち物の管理が難しい □時間に遅れることがある □優先順位を考えることがにがて □準備不足や、不注意な行動をすることがある ワーキングメモリに課題 □指示を覚えきれないことがある □順序を忘れることがある こんな指導・支援をしてみては 課題を小さなステップに分けよう(学習環境の工夫・合理的配慮) 注意・集中力に課題 一回の課題の量は、子どもの実態に合わせて設定し、「10分でここまでやろう」というように、具体的な目標を設定するようにしましょう。また、手順や課題の終了がわかるように、進捗状況を示したり、タイマーを使って時間を提示したりすることで、集中を維持できる環境や条件を整えるとよいでしょう。  子ども自身が、集中して課題をやり遂げるための環境や条件を理解してきたら、自分からその環境や条件を整えられるように働きかけましょう。 (31ページ) 落ち着ける環境を作ろう(学習環境の工夫・合理的配慮) 感覚の過敏性・鈍感性がある 静かで落ち着ける席を用意したり、パーテーションなどを活用したりして、視覚的・聴覚的な刺激を減らす工夫をしましょう。 また、必要に応じてイヤーマフやノイズキャンセリングヘッドフォンなどを活用し、周囲の音を遮断するなどの支援を検討しましょう。 また、話を聞けていないために周囲の動きや状況などを把握できず、結果、行動が遅れてしまう場合は、アイコンタクトやジェスチャー、黒板に今ここ」カードを貼るなど、本人が気づくことのできる工夫が効果的です。 持ち物やスケジュールを管理しよう自己管理に関する指導) 自己管理能力に課題 「持ち物チェックリスト」や「今日やることリスト」を作成し、優先順位をつけたり、確認したりする習慣をつけましょう。自分で予定を守れたり、忘れ物を防いだりすることができたときには、教員が適切に評価することで、子どもが「できた」という感覚を持てるようになり、取組みに対してのモチベーションを高めることにつながります。 指示は一つずつ短く(学習環境の工夫・合理的配慮) ワーキングメモリに課題 分かりやすい言葉で明確に指示をするようにしましょう。一つの行動が終了してから次の指示を出すことで、その行動に集中することができます。 作業や課題の進め方をイラストや文字で示した手順書を用意し、子どもが自分で確認しながら進められるようにする支援も有効です。 さらに、子どもが自らメモを取ったり、見返したりする習慣を身につけることで、不注意な行動を減らすことにつながります。 【社会的自立に向けて】 時間を見積もることに、にがてさがあると、遅刻を繰り返してしまうことがあります。何かが気になってしまって、本来しようとしていたことを忘れてしまい、遅刻をしてしまうこともあるようです。通学など、いつも決まっている時間設定があるのなら、朝の行動をルーティン化することは有効な手段の一つです。 ルーティンにないことはしないようにし、「自転車の鍵がない!」など急なトラブルに備え、予備の鍵を準備しておくなどの改善策を本人が考えていくことも 大切です。不注意な行動をする子どもには、環境調整や 言葉かけで集中しやすい場を整え、肯定的な関わりで、 自己理解と行動調整力を育てましょう。 (32ページ) 14.不器用である こんな様子はありませんか? 姿勢保持に課題 □姿勢やバランスを保つことがにがて □遊具を使った遊び(ブランコなど)がにがて 協調運動※がにがて (※ 身体の様々な部位を連携させて動かすこと) □日常生活でスムーズに動くことが難しい □ダンスなどリズムに合わせた動きが難しい 眼球の動きに課題 □目標にむかってボールを投げたり、 キャッチしたりすることが難しい ボディイメージ力や空間認知能力※の弱さ (※ 物の形や位置関係を把握する力) □着替えや食事、筆記など日常の動作をスムーズに行うことが難しい □ものと自分の距離が捉えにくく、ぶつかることがある □段差につまずくことがある こんな指導・支援をしてみては 椅子に浅く5分間座る(体幹機能に関する指導) 姿勢保持に課題 骨盤を立てて座ります。毎日短時間取り組むことで、正しい姿勢を、身体が覚えていきます。 バランスボールに座って動きを模倣(体幹機能に関する指導) 教員が前で、「腕を横→上→前」「片手ずつパンチ」などの動きを見せて、バランスを保ちながら模倣をするように促します。 粗大運動(バランス調整に関する指導) 協調運動がにがて バランス能力を高めるには「ものを持って平均台を渡る」「水の入った紙コップから水をこぼさないように歩いて次の人に渡す」「斜面やデコボコした地面などの不安定な場所を歩く」「階段を一段飛ばしで上る」などの取組みがあります。 これらの取組みではゲーム感覚で楽しみながら目と身体の協応、力加減、動きの器用さを身につけられます。また、体幹を鍛えること、体力の向上にもつながります。 (33ページ) 微細運動(バランス調整に関する指導) 小さな積み木を積み上げたり、積み上げたものを崩さないように一つずつ取ったりする 課題は、目と手の協応や、手指の巧緻性を高めます。 校内で取り組みやすい切り紙(はさみ)、貼り絵(のり)、粘土、ビーズ通しや刺し子などの創作、台拭き(ふきんを絞る、机を拭く)、食事(箸使い、皿を持つ)などの動作でも目と手の協応や手指の巧緻性を高めることができます。 これらはただ回数を重ねるのではなく、「折り紙の角と角を合わせてね」「線からはみ出さないように塗ってみよう」などポイントや目標をしっかり伝え、意識しながら行うことが大事です。また前提として、姿勢を整えて取り組む ことが重要です。そのため、机や椅子の高さを身体に合うものにしたり、使いやすい文房具を選んだりするなど、活動環境を整えましょう。 的あて(協調運動に関する指導) 眼球の動きに課題 子どもの好きなキャラクターなど、興味関心を惹きやすいもので的を作成するとよいでしょう。楽しみながら目と身体の協応を高めます。 ものを使って身体をコントロール(協調運動に関する指導) ボディイメージ力や空間認知能力の弱さ もの(ラップの芯やボールなど)を操作(人への受け渡し、距離を空けてキャッチ)することで身体の使い方を知ったり、ものをコントロールしたりする力をつけることができます。 【社会的自立に向けて】 不器用さがある子どもは、細かい作業を続けると疲れやすかったり、パソコンのタイピングがにがてであったりする場合があります。進学先や就労先で想定できる課題があるなら、子どもと一緒に対処方法を検討しておきましょう。一方で、粗大運動ができるようになると微細運動へとつながります。これらの運動の力は、集中力に関わるため、学習(仕事)や生活に影響する力です。少しでも改善に向けた取組みを行うことで、自分でできる力の獲得につなげましょう。一人で取り組むことが難しい場合は、助けを求める力や感謝を伝える力を育てることも、社会的自立に向けて大切な力となります。 (34ページ) 15.授業中に教室内を立ち歩く こんな様子はありませんか? 見通しが持てない □いつまで続くのかわからないことがある □最終的にどうなっていればよいのかが分からないことがある 抑制の力に課題 □じっとしていることがにがて □座っている状態で椅子や足を動かすことがある 学習環境に課題 □「できない」「わからない」など困っていることを伝えることが難しい □子どもが安心して学習に取り組めないことがある(座席の配置、教室の温度や照明、音の大きさ、学習に必要な教材や道具) □課題が難しすぎる、もしくは簡単すぎる可能性がある こんな指導・支援をしてみては 「今ここ」矢印をスケジュールにつける(学習環境の工夫・合理的配慮) 見通しが持てない その日の活動や課題の全体像が見えるように提示するとともに、今はどの課題に取り組んでいるのかがわかるように、提示したスケジュールに「今ここ」矢印をつけるなどの工夫をしましょう。 また、取り組む課題ごとに、「どこまで進めば作業終了か」を提示しておくことも有効です。 あわせて、授業ルールなど気をつけてほしいポイントを見て分かるように掲示しておくことも大切です。 (35ページ) 指を動かして気分を変える(集中持続のための支援) 抑制の力に課題 授業中に動きたくなったら、指を動かすことで代替行動ができます。親指とひとさし指、親指と中指……と順に指さきをくっつけます。片手ずつ、または両手同時に行いましょう。 あえて動く時間を設定(学習環境の工夫・合理的配慮) 学習環境に課題 子どもに合わせて、活動のはじめや途中に身体を動かす課題を設定しましょう。 「トランポリンで跳ぶ」「お手玉でキャッチボールをする」「ストレッチボールでバウンドパスをする」など、楽しく身体を動かしながらできる課題に取り組んでみましょう。 また、活動中にあえて動く時間を設定し、活動に影響が出ない程度で子どもが動いて発散できるよう工夫をしてみましょう。 もし、子どもが椅子や足を動かしていても、本人が授業に参加できていて、かつ、周囲の子どもの学習に支障がないのであれば、注意せず見守っていてもよいと思います。 動くことで安心を得ているのかもしれません。 教室環境の調整を提案 (学習環境の工夫・合理的配慮) すべての教室でユニバーサルデザインを意識した教室環境を提案しましょう。 落ち着いて学習できる環境を把握し、共有するようにしましょう。 また、気持ちを落ちつけたいときには、どうすればよいかを子どもと一緒に考えてみましょう。 【社会的自立に向けて】 授業中に教室内を立ち歩く子どもは、「今のところ教室から出ていない」という点がポイントです。立ち歩きの背景にある特性や不安などの心理面を理解し、個別の配慮を行うことで、落ち着いて学習に参加できる力が整ってくるでしょう。 また、ルールの意味を丁寧に伝え、立ち歩いてよいときとそうでないとき、その理由について理解を促しましょう。少しずつ集団行動への適応を促すことが、自立への第一歩となります。立ち歩き以外の方法で気持ちを表現できる手段を教えることや周囲との関係づくり、成功体験の積み重ねも大切です。 (36ページ) 16.教室に入りたいけれど入れない こんな様子はありませんか? 感覚の過敏性がある安心できる環境ではない □音や光、触覚などの刺激に敏感 □良好な人間関係を築くことが難しい 思考の固さがある □「こうでなければいけない」と強く感じることがある □予定やルールの変更がにがて こんな指導・支援をしてみては 支援グッズを使いストレス軽減(過敏さに対する環境づくり) 感覚の過敏性がある 安心できる環境はない 聴覚過敏にはイヤーマフやデジタル耳栓、視覚過敏には色覚補助眼鏡や照明、触覚過敏には心地よい衣服、嗅覚過敏にはマスクなど、それぞれの過敏さに合わせた支援グッズを活用することで、ストレスの軽減を期待することができます。 なお、子ども自身が過敏さに気づかず、イライラしている場合もあります。保護者と情報共有しながら、日ごろの様子を観察することが大切です。 (37ページ) こんな考えもできるね(思考の柔軟性を高める指導) 思考の固さがある 例えば「先生の話を聞いていない子ども」について一緒に考えます。子どもたちは、「聞く力が弱くて聞けなかったかもしれない」「先生の指示を聞きそびれたかもしれない」「集中してずっと聞くことがにがてだったかもしれない」など、お互いの意見を出し合うことで、様々な考えに触れることができます。「こんな考えもできるね」を習慣化することで、柔軟に考えることができるようになっていきます。 プリントの例 何があったのかな? どんな気持ち? 相手の子にへんしんしよう! ・ ・ ・ 分かったこと やわらか頭でポーズ 教員が子どもたちと向かい合わせになり、左右対称でないポーズをします。「ポーズを真似してください」と言えば、子どもたちは鏡のようにポーズを模倣するでしょう(教員が右手を挙げると子どもは左手を挙げる)。「次は、このポーズの反対のポーズをしてください」と言います。すると子どもたちは頭の中でポーズを反転させて真似することになり ます。思考を柔軟にするために取り組んでほしい活動です。 できるようになったら、正中線(身体の中心を通る線)を超える動きを取り入れ、レベルアップしていきましょう。 【社会的自立に向けて】 教室に入りたいけど入れない子どもには、安心できる環境と関係づくりが重要です。個別の支援を通じて感情調整力や自己表現力を育み、段階的に教室参加を促すことが有効でしょう。しかし、中には教員が想像もつかない理由で困っている子どももいます。「自分の唾を飲む音が友だちに聞こえている。緊張で呼吸が苦しくなる。私の苦しさが友だちにも伝わって苦しそうにしている。辛くて教室に入れない」これが思い込みであったとしても、子どもにとっては重大な内容です。「そんなことあるわけないよ」という言葉は「わかってくれない」という思いになってしまうかもしれません。「少しでも楽になる方法があるかもしれないよ」と対処方法を検討しましょう。違う考え方ができるよう促すことが大切です。「ゆっくり深呼吸したら少し楽だった」など、少しずつ成功体験を重ねることで、自己調整力が育まれます。 (38ページ) 17.授業中、教室から出ていく こんな様子はありませんか? 成功体験が少ない □承認や注目を求める行動をすることがある □自信が持てないことがある 共感することが難しい □協力して取り組むことに意識が向きにくい □周囲のペースに合わせることが難しい 抑制の力に課題 □感情のままに行動することがある □「楽しそう」「やってみたい」という気持ちに流されることがある 集団生活に必要な環境が整っていない □子どもが安心感や一体感を感じにくい □孤立感や疎外感を感じていることがある □適切な行動を学ぶ機会が十分でない こんな指導・支援をしてみては 小集団で活動を楽しむ経験を増やす(集団活動の指導) 成功体験が少ない まずは大人と一緒に遊ぶという体験を通じて、自信をもって活動に参加することから始めましょう。勝負の決まるカードゲームやボードゲームをしながら、勝ち負けに対する対処までを学ぶことで、自信をもって活動に参加できる素地が整います。 成功体験が少ない子どもには、勝つことによる 成功体験の積み重ねは大切です。 ただし、負けた際の発言・行動を学ぶことも大切です。負けた際にどのように行動したらよいかを知ることで、適切な行動につながることが期待できます。 (39ページ) 協力できる課題を設定(協働活動の指導) 共感することが難しい 協力型のボードゲームや、力を合わせて完成させる運動やパズルなど、一緒に達成感を味わえる課題に取り組みましょう。 一緒に取り組む中で、子どもの行動や発言を認めたり、達成時にハイタッチをしたりして、喜びを共有できるようにしましょう。 優先順位の確認(行動計画の支援) 抑制の力に課題 「やりたいこと」と「やらなければいけないこと」を確認し、先に何をする必要があるのかを一緒に考えてみましょう。やることリストを作成して子どもが見やすい場所に貼り、できたらシールを貼っていくなど、達成感を得やすい工夫をしましょう。 望ましい集団参加を増やす配慮(集団参加できる環境づくり) 集団生活に必要な環境が整っていない 「教室から出て行く」ような行動の背景には、発達特性、家庭環境、対人トラブルなど、多様な要素が関わっていることがあります。学校だけで解決しようとするのではなく、保護者を含めた関係者で連携し、子どもの集団参加に向けて協働することが重要です。 支援者間で課題設定を共通理解し、小集団の環境で、望ましい集団参加の経験を積み重ねることを目標に取り組むことが大切です。 【社会的自立に向けて】 授業中、教室から出ていく子どもが安心できる環境と、信頼関係が重要です。自分の気持ちを言葉で伝え、場に戻る力や集団参加の力を育てることが大切です。子どもはどういうときに出ていきますか?どの授業は参加していますか?出ていく要因を考え、子どもの行動の目的を把握しましょう。また、メリット、デメリットを一緒に考えることも有効です。 子どもが「自分で考え、行動し、社会の中で自分らしく生きる力」を育むために安心感の獲得、感情の理解と表現方法、自己決定と社会参加に向けて段階的に指導することがポイントです。 (40ページ) 18.ルールの理解が難しい こんな様子はありませんか? 抑制の力に課題 □ルールを理解しているが、自分の興味や関心を優先することがある 注意・集中力に課題 □集中が途切れることがある □気が散ることがある 生活経験の不足 □ルールの意味や手順を理解することが難しい □ルールの目的や意義の理解が十分でないことがある 環境設定が十分でない □ルールがわからず注意されることがある こんな指導・支援をしてみては 「ねことねずみ」よく聞いて!(集中して正確に聞き取る指導) 注意・集中力に課題 抑制の力に課題 「ねことねずみ」は、おにごっこの一つです。2本の線を真ん中に引き、ねことねずみのチームに分かれます。「ね、ね、ね……」と言うと、線の中に少しずつ入り、「ねこ」と言うと、ねこチームがねずみチームを追いかけます。時には、「ネクタイ」「ねぼう」など違う言葉を入れて、その場で動きを止めるようにします。この活動を通して、正確に聞き取る力だけでなく、注意・集中や抑制の力が育ちます。聞き取りに使う単語やゲームのルールは、生活年齢(実年齢)によって変化させてください。 (41ページ) カードゲーム・トランプでルールを知ろう(ルール理解の指導) 生活経験の不足 ゲームを楽しむだけでなく、ルールの必要性を考えることが大切です。 カードゲーム・トランプには様々な遊び方があります。それぞれのルールを習得しながら、ルールを守る姿勢が身につきます。家庭で取り組むことが少ない子どもたちもいるため、学校で取り組むことも有効です。「どんなルールがあったか、どのように守れたか、または楽しく取り組めるのはなぜか」を考えるようにします。 安心して、楽しく活動をすることができたのは、ルールがあったからだということを知り、ルールを守ることの大切さに気づくことができるようにしましょう。 ルールを守れない行動を叱る前に“理由”を考える(ルールを守れる環境づくり) 環境設定が十分でない ルールを明確に示しても守れなかった場合、その行動の原因を注意深く探る必要があり ます。生活経験の不足が原因なら、「ルールは〇〇だったね」と優しく言葉かけすることが求められます。注意・集中や抑制の力が原因なら、あらかじめ言葉かけをすることで行動を未然に防ぐことができるかもしれません。そもそもルール説明が不十分であるならば、教員側の工夫が必要です。 原因に合わせて指導・支援をすることも大切ですが、友だちの関わりも大切なカギとなります。友だちと一緒にできた、守れた経験は、その後の意欲につながるので、ルールを守れる環境づくりや集団づくりも意識するとよいでしょう。 【社会的自立に向けて】 ルールの理解が難しい子どもには、視覚的な提示と繰り返しの確認が効果的です。学校ではルールの意味や理由を丁寧に伝え、実践と振り返りをすることも有効でしょう。さらに、ルールは子どもが守るだけでなく、教員も一緒に守ることも重要です。ルールを守ることでよい経験をしたことを話し合うことは、ルールの大切さを確認できる方法の一つです。 「ルール=人と気持ちよく関わるための約束」として理解できるようになるために、視覚的支援や肯定的な言葉かけで安心感を与え、意味を丁寧に伝えることが大切です。自己調整力と他者への気づきを育てることがポイントです。 (42ページ) 19.場にそぐわない発言をする こんな様子はありませんか? 思考の固さがある □物事に対して、「こうでなければいけない」という思いが強い 他者感情理解が難しい □自分の思いを優先して発言することがある □自分の言葉の伝わり方をイメージしにくいときがある 周囲の状況の理解が難しい □周囲の状況に合わせて行動することが難しい □話の流れとは別のテーマについて話すことがある 環境設定が十分でない □ルールの理解が難しい こんな指導・支援をしてみては どんな気持ち?(感情理解の指導) 思考の固さがある 他者感情理解が難しい 様々な表情のイラストを用意し、「この人は、どんな気持ちかな?」と質問します。次に「どんなことがあったのかな?」とエピソードも考えるように促します。 この取組みで他者の気持ちを考えたり、状況理解の力がついたりします。グループで話し合うことで色々な友だちの意見に触れることができます。 (43ページ) 今はなにする時間?(状況理解の指導) 周囲の状況の理解が難しい 「今は先生が話をしているので、静かに聞きましょう」など、今の状況や、何をすべきなのかを具体的に伝えます。 全体の前で注意することが好ましくない場合は、「静かに」のジャスチャーや、机間指導の際に机に軽くトントンと触れるなどして伝えます。本人が自分で気づいて、場面に合った態度がとれるように促しましょう。 また、話の前後関係がわかっていない場合や、一斉指示などで自分への指示であると認識できていない場合には、場にそぐわない発言をすることがあります。いずれも、状況の理解ができているかを注意深く観察し、早めの言葉かけがあるとよいでしょう。 きまりをつくろう(ルール理解の支援) 環境設定が十分でない 年度はじめは、まずきまりをみんなで考えて作るところから始めます。よい行動、するべきではない行動を判断し、気持ちよく過ごすために必要なきまりを子どもたちとともに作り、よく見える位置に掲示しておきます。「やさしいことばをつかおう」「自分がいやなことは人にしない」など、子どもと一緒に共有すれば、きまりにそった行動をとりやすいです。また、きまりに合わない言動をしてしまっても、すぐに確認することで自己修正につながりやすいです。 【社会的自立に向けて】 場にそぐわない発言をする子どもには、状況理解と自己調整力を育てる支援が必要です。学校では場面ごとの適切な言葉を学ぶ活動や振り返りをすることが大切です。例えば場にそぐわない発言に対して、言われた相手がどう感じるのかを考える活動をします。「○○って言われて嫌だった」「突然△△って言われてびっくりした」などと教員が相手の気持ちを伝え、本人がわかりにくいことへの 気づきを促すことは大切です。 「言葉の使い方=社会との関わり方」として、状況に合った言葉づかいや、相手を傷つけずに自分の気持ちを伝える力、発言のタイミングを調整できる力がポイントになります。 (44ページ) 20.自分の気持ちを伝えることがにがて こんな様子はありませんか? 成功体験が少ない □自分に対する評価が低く、自信を持てないことがある □自分自身や相手のよいところに気づくことが難しい 感覚の過敏性がある □他者の気持ちに敏感 □周囲からの何気ない言葉にも傷ついてしまうことがある 気持ちの整理が難しい □自分の感情や考えを表現することが難しい □どのように表現すればよいのかがわからないことがある 安全安心な環境が整っていない □自分の感情や考えを表現することに対して不安を感じている □他者からの反応を気にすることがある こんな指導・支援をしてみては 気持ちの言語化(感情表出の指導) 成功体験が少ない はじめは、気持ちや表情が描かれた絵カードを用いたり、教員が感情を表す言葉とその意味を説明したりしながら、いろいろな気持ちがあることを確認します。さらに、今の気持ちを言語化し、相手に伝える機会を作ります。教員や友だちなど、相手に気持ちを理解してもらう、自分も理解するという経験は、次第に「わかってもらえる」という安心感につながります。 (45ページ) リラックスできる空間の設定(安心できる環境づくり) 感覚の過敏性がある 他者からのプレッシャーを感じないように、静かでリラックスできる空間で話をしましょう。無理に急がせず、ゆっくりと考える時間を設けることで、気持ちを整理し、思いを伝えることができるようになります。 気持ちの流れを整理しよう(感情理解の指導) 気持ちの整理が難しい あいまいになっている感情を整理して理解するために、ワークシートなどを活用し、「なにがあったのか」「どう感じたのか」「どうしたかったのか」などを整理しましょう。 自分の気持ちを短く書き出す一行日記も気持ちを整理するために効果的な方法の一つです。 信頼関係を築く(安心できる環境づくり) 安全安心な環境が整っていない まずは、子どもとの関係を築くことが大切です。 作業をしたり、身体を動かしたりしながら話すことで、緊張感がほぐれ、リラックスして話ができます。 また、正面に座る、少しななめの位置に座る、横並びで座るなど、話をするときの位置関係や距離感も配慮しましょう。 安心できる距離感を確認しながら、子どもとの関係を築いていきましょう。 【社会的自立に向けて】 気持ちを伝えることがにがてな子どもには、感情の言語化と安心して話せる環境づくりが必要です。学校では絵カードやロールプレイを通じて、自己表現力を育てることが大切です。何に敏感になって(気になって)いるのかを聞き取り、それについて解決策を一緒に考えることも有効です。 また、普段は話せていても、とっさに言葉にすることが難しい子どももいます。気持ちが昂ぶる・緊張することなどがあると、特に言葉にすることが難しくなってしまいます。どんな思いで何を言いたかったのかを、書き出すことで表現するのもよいです。それが事後であっても、子どもの心の整理ができると、安心感につながります。 「伝える力=人とつながる力」として、社会的自立の基盤を作ることがポイントです。 (46ページ) 21.暴言をいう こんな様子はありませんか? 成功体験が少ない □自己肯定感が下がっている □防衛手段として、相手を攻撃することがある 共感することが難しい □相手がどう感じるのかを理解しにくいことがある □他者の痛みや喜びに対して共感しにくいことがある 抑制の力に課題 □怒りやフラストレーションなどの感情を適切に管理することが難しい □ストレスやプレッシャーの影響を受けやすい 安全安心な環境が整っていない □適切な言動を学ぶ機会が十分でない □周囲の大人や友だちのまねをしている □困ったときの正しい行動がわからない こんな指導・支援をしてみては 安心できる場所と時間の提供(安心できる環境づくり) 成功体験が少ない 個別にかかわる時間を最大限に利用して、落ち着いて話ができる場所と時間を作りましょう。本当はどう思っているのか、言葉の裏に隠れている本心は何なのかを探りながら話を聞きます。味方がいるとわかれば、子どもの安心感につながります。 まずは安心できる時間と場所を用意して、ありのままのあなたでいいと伝えましょう。 (47ページ) 気持ちの温度計/どんな気持ち?(感情理解の指導) 抑制の力に課題 どんなときにイライラがたまるのかなど、話を聞きながら自分の気持ちを見えるようにしていきます。絵で表したり、数値化したりするのもわかりやすいです。気持ちを言語化してみましょう。また、運動などを通してよい興奮を経験することも、気持ちのコントロールにつながります。 気持ちの理解を進めながら、イライラがたまったときに気持ちを落ち着かせる方法について、子どもと一緒に考えるようにしましょう。 気持ちと表情の一致(表情理解の指導) 共感することが難しい 表情のカードなどを使いながら、気持ちと表情が一致できるように繰り返し取り組みましょう。 また、子どもに対しては「自分が発した言葉で相手がどんな気持ちになるのか」を伝えることが大切です。「〇〇と言われると私は傷つきます」など教員が子どもに伝えることで、子どもは自分の言葉の影響力を理解しやすくなります。 クールダウンする場所を決める(安心できる環境づくり) 安全安心な環境が整っていない 気持ちが昂ぶりそうなとき、子どもが自分でクールダウンできる場所をあらかじめ決めておき、それを校内で共通理解しておくようにしましょう。その場所に行くときのルールも決めておき、どの教員が対応してもスムーズに移動できるようにしておきましょう。 また、困ったときはどう言えばいいのかを一緒に確認し、正しく伝えられるようにしていきましょう。 【社会的自立に向けて】 暴言をいう子どもには、背景にある不安や葛藤に寄り添いながら、適切な表現方法を育てる支援が必要です。学校では安心できる関係づくりと感情コントロールの学習を通じて、社会的自立を促すことが大切です。 「暴言を減らす」ことではなく、暴言をよりよい表現に変えていくことが指導・支援の目標です。「よりよい関わり方を身につける」という視点で支援することがポイントです。 (48ページ) 22.相手の気持ちを考えて会話することがにがて こんな様子はありませんか? 他者感情理解が難しい □相手の表情などから感情を読み取ることが難しい □相手の気持ちや意図を正確に把握することが難しい □自分の思いと相手の思いが同じだと考えている 言葉を字義通りに受け取ってしまう □比喩や暗示、冗談などの意図を理解することが難しい □直接的には表現されていない内容を読み取ることが難しい 聞く力・聴覚的短期記憶に課題 □話の流れを理解できず、適切な応答が難しい □会話が途切れることがある こんな指導・支援をしてみては 場面や文脈から読み取ろう!(状況理解の指導) 言葉を字義通りに受け取ってしまう 「教室で授業中に、先生に『ちょっと待ってね』と言われました。いつまで待てばいいでしょうか?」など場面によって意味が変化する言葉について、子どもと一緒に考えてみましょう。比喩や例え話の意味をそのまま受け取って行動した結果、「先生にだまされた」と受けとめたり、「友だちに笑い者にされた」と感じたりすることがあります。そのような経験が続くと、周りの人を信用できなくなったり、自己肯定感の低下につながったりすることが考えられます。そのため、わかりやすい言葉で的確に伝えるようにすることが重要です。 (49ページ) 自分と他者の気持ちを知る(少人数SSTによる状況理解の指導) 他者感情の理解が難しい この活動は、3~5人のグループで行います。まず、いろいろな場面が描かれたカードを見て、その場面で自分がどんな気持ちになるかを考えます。そして「うれしい」「かなしい」「はらがたつ」「そのほか」の4つの枠の中から、当てはまる気持ちのところに自分のコマを置きます。「うれしい」の中にも「ウキウキ」「ドキドキ」など、細かい気持ちの種類があります。友だちと話しながら、「同じ場面でも感じ方は人それぞれだね」と気づくことで、自己理解や他者理解を深めていきます。 次に、表情のイラストを見て「どんな気持ちの表情か」を考えたり、実際にその表情を真似したりします。これにより、表情と気持ちを結びつけて理解する力を育てます。 さらに、望ましい言動を身につけるために、実際の場面を想定したロールプレイを行います。 周りの人が良かった点などをフィードバック(適切な評価)することで、般化(いろいろな場面で使える)していきます。 般化までの流れの図 言葉や視覚支援で→ロールプレイ→フィードバック 般化…いろいろな場面で使える コミック会話(状況理解の支援) 聞く力・聴覚的短期記憶に課題 線画の人間にふきだしを付けて、状況理解を促します。時系列でまとめることで、状況を客観的に理解できます。トラブルの振り返りでは、原因の追究だけではなく、望ましい代替の言葉を本人と一緒に考えます。 【社会的自立に向けて】 相手の気持ちを考えるのがにがてな子どもには、感情理解と視点の切り替えを育てる支援が必要です。学校では絵カードやロールプレイを活用し、共感的な対話力を養うことが大切です。社会生活において、対人関係でトラブルになることをできるだけ防ぐためにも、「自分の感じ方はこうだけど、他の人はこうらしい」など、これまでの経験や学んだことをメモに残していくことも効果的です。 より理解を深められるよう、視覚的な情報を活用するなど、情景をイメージしながら理解できる支援を行いましょう。 (50ページ) 23.一方的に話すことが多い こんな様子はありませんか? 他者感情理解が難しい □自分の話に集中し、相手の反応に気づきにくいことがある 会話のルールを理解していない □話の交代や終結のタイミングが分かりにくい □相手の様子や表情を読み取ることがにがて 抑制の力に課題 □相手が話し終わるまで待つことが難しい □相手の話を遮って話を進めることがある 自分と他者の思考が異なる ことを理解することが難しい □自分の興味を、相手も同じように感じていると捉えてしまうことがある □相手がどう感じているのか考えることが難しい こんな指導・支援をしてみては 集団レクリエーション(集団参加スキルの指導) 抑制の力に課題 最後まで聞かないと答えられないルールのクイズや、どれだけ長く続けられるかをチーム対抗で競うしりとりなどで、「友だちが言い終えるまで聞く」、「順番が来るまで待つ」という経験を積みます。 教員はそばで見守り、子どもが「黙って聞こうとしている」「短時間でも順番を待てている」ときに、すかさず褒めるようにしましょう。 (51ページ) 会話のキャッチボール(対話ルールの理解) 他者感情理解が難しい 会話のルールを理解していない 風船を持った子どもがお題カードを引き、お題にそった話をします。 例えば「最近びっくりしたこと」などです。話し終えると隣の友だちに「〇〇さんはどうですか」と風船をわたします。風船を持った子ども以外は聞き役になるというルールです。風船を持っていないときに「あ、私も知ってる……」と話し出してしまう子どもがいたら、教員は、子どもがルールに気づけるように促しましょう。 気づけたこともしっかりと褒めましょう。また、お題ごとに「最後に一言だけコーナー」を設け、そこで話したりなかった子どもが一言だけ話せるようにしておいてもよいでしょう。 さらに、手を挙げて「話していいですか」と言ってから話すなど、段階的にルールを設けていくとよいでしょう。 他者意識を促す日常会話(他者視点の理解に関する支援) 自分と他者の思考が異なることを理解することが難しい 自分が好きなものごとについて話すときに、「私は〇〇(アニメのキャラクター)が一番好き。一番かっこいい。〇〇以外は全部かっこよくない」などと、相手の気持ちを考えずに他を否定してしまうことがあります。「そうだね、一番かっこいいね」と同調してあげたくなる気持ちもありますが、自分と人の気持ちは違うということに、日ごろの会話から少しずつ慣れていく必要があります。 「そう。〇〇が一番好きなのね」と共感を示した後、「私は□□が好きだなあ」など、いろいろな気持ちがあることを伝えていくとよいでしょう。 【社会的自立に向けて】 一方的に話す子どもには、会話のルールや相手意識を育てる支援が必要です。学校ではロールプレイや振り返り活動を通じて、聞く力・伝える力のバランスを養いましょう。一方で、これまで大人に「聞いてもらってきた」経験が多かった子どもの中には、同じ調子で一方的に友だちに話してしまい、失敗してしまうというパターンがあります。 教員は、子どもの育ちの背景を含めたアセスメントを行い、指導・支援を行ってください。 振り返りの場面では、聞く姿勢が見られたことや相手に配慮した発言ができたことを具体的に言語化して認めましょう。傾聴と共感の練習をすることがポイントです。 (52ページ) 24.ヘルプを出すことが難しい こんな様子はありませんか? 助けを求めた経験が少ない □ヘルプを出すことで状況が改善した経験が少ない 適切な行動を理解していない □適切な要求のしかた(伝え方)を理解していない □ヘルプを出さずに我慢していることがある 環境が整っていない □人間関係の構築が難しい □安心してヘルプを出せる環境でない 自己認識の力に課題 □自分の思考や行動を客観的に把握することが難しい □自分が困っていることや助けが必要なことに気づいていないことがある こんな指導・支援をしてみては SST「手伝って」(主体的なコミュニケーションの指導) 助けを求めた経験が少ない 自己認識の力に課題 人は社会の中で互いに支え合いながら生きています。家や学校などの身近な環境で「ありがとう」や「ごめんなさい」といった言葉をかけてもらうことは、自分が誰かの役に立っている、社会の一員であるという感覚を高める重要な要素となります。そのような安全安心な環境において、自らヘルプを求める経験も早くからしておくことが大切です。 ヘルプを求めた結果、状況が良くなった、という経験を積むことで、安心してさまざまなことにチャレンジするようになります。失敗しても、一人で難しいことは「手伝って」と人に頼ることができるようになります。 教員は先回り支援(子どもが経験、挑戦する前に手伝ってしまう)をせず、子どもが自分で困っていることに気づけるように促し、「手伝ってください」と言えたらすぐに応じるようにします。 (53ページ) ポジティブ行動支援(適切な行動を促す支援) 適切な行動を理解していない 表面的な行動に惑わされず、「手伝ってほしい」「見てほしい」といった子どもの要求に気づき、適切な要求のしかた(伝え方)を提示する必要があります。 SSTに取り組むには信頼関係が必要です。 子どもを悪い状態と捉えると、マイナスから支援を始めることになります。今を「0」とし、プラスを積み上げていくポジティブ行動支援を行います。問題行動ではなく、子どもが少しでも適切な方法でヘルプを出そうとした変化にしっかり注目し、「伝えてくれたからわかったよ」と褒めましょう。 教室の帰ってきた児童生徒の図 出て行ったことではなく、戻って来たことに着目しよう。 言葉のキャッチボール(対話を促す環境づくり) 環境が整っていない 子どもは教員をよく見て、受け止めようとしています。しかし、「きちんと聞きなさい」「きちんと話しなさい」など、子どもが受け止めにくい言葉を投げかけていないでしょうか。 もしかすると、やりとりの言葉があいまいなために、子どもがヘルプを出せなくなっているのかも知れません。子どもがヘルプを出しやすい環境・雰囲気・関係づくりはとても大切なので、ヘルプが出せるように、子どもに合わせて調整していきましょう。 キャッチボールをする図 会話もキャッチボールと一緒。子どもが楽しい、おもしろい、もっと続けたい、と思える会話をしよう。 【社会的自立に向けて】 ヘルプを出すことが難しい子どもには、安心して頼れる関係づくりが重要です。 学校では日常的な言葉かけや役割体験を通じて、助けを求める力と自己表現力を育むことが大切です。「頼ってもいい」「失敗しても大丈夫」というメッセージが子どもに伝わることで、困っていることを伝える練習を、安心感を持って重ねられます。「困りごとを伝えられた」という成功体験をすることで、子どもが安心してヘルプを出せるようになっていきます。 (54ページ) 25.自信がない・自尊感情が低い こんな様子はありませんか? 環境の調整が必要 □自分のことはわかっているけれど、それを周囲に認めてもらいにくい環境である □周囲の期待が大きすぎる 成功体験が少ない □自ら行動することが難しい □はじめてのことに挑戦しにくい 自己認識の力に課題 □自分の好き・嫌いや、得意・不得意についてわからないことがある □他者から見た自分を理解しにくい こんな指導・支援をしてみては 頑張りすぎてないかな?(環境・関係性の整理) 環境の調整が必要 教員は、子どもに「こうあってほしい」という思いを持って指導や助言をしていると思います。一方で、子どもは、「期待に答えたい」「褒めてほしい」と思うものです。 過度な要求が子どもにとって苦しいものになっていないかを教員は注意深く観察する必要があります。また、お互いを認め合い、高め合える集団づくりができているかが大切なポイントです。 失敗しても大丈夫と感じられる教室の雰囲気や子どもどうしで励まし合える関係性など、子どもが安心して過ごせる居場所は、自分のことも人のことも肯定的に捉えることができる環境となります。 (55ページ) まずは見てみよう、知ってみよう(自己肯定感の向上に向けた支援) 成功体験が少ない はじめての活動にイメージを持ちにくく、抵抗感がある場合は、活動全体の見通しを持つことから始めましょう。ダンスなど、表現することは特に、うまくできるかどうか不安でなかなか行動に移せない場合もあります。少しずつできることから行い、自分で「できてるかも」と少しでも納得しながら行うことで、自信につながります。 自己紹介・他者紹介をしよう(自己理解・他者理解の指導) 自己認識の力に課題 自分のよいところを知ることは、とても大切なことです。「実は○○が好きです……」というような、学校で伝える機会のない内容も含め、改めて自分の好きなことや、にがてなことなどを考えてまとめてみましょう。 自分の強みを知ることは、自己肯定感の向上につながることの一つとなります。友だちと「お互いのよいところ見つけ」と称して、よいところを書いたメモを交換することもよいでしょう。人のことはよく見ることができていても、自分のことには気づきにくいこともあります。もしかすると、自分では気づいていなかった自分のよさを知ることができるかもしれません。自分の強みを知ることは、自信につながるきっかけになることがあります。 【社会的自立に向けて】 自尊感情が低い子どもには、成功体験の積み重ねと肯定的な言葉かけが重要です。また、成功体験を自分自身で実感できることも大切です。 人に認められた経験+自分で達成を実感できた経験の双方があることで、少しずつ自尊感情が育まれていきます。 学校では個別の教育支援計画を活用し、得意なこと好きなことを伸ばし、自己理解・自己認識を高め、自己決定を促す活動を通じて社会的自立を支援しましょう。「できたことを言語化して認める」ことがポイントです。 (56ページ) 子どものカラダの発達について〜作業療法士の視点から〜 関西福祉科学大学 教授 丹葉 寛之 授業中に姿勢が崩れる、フラフラして歩いているなど、姿勢や運動に課題を持つ子どもが観察されます。学校生活の中では鉛筆やはさみ、リコーダーなど手を使うこと、本を読む、黒板を見るなど目を使うこと、先生のお話を聞くなど耳を使うこと、体育や休み時間にカラダを使うことなど様々な活動があります。それらの活動を上手く行うためには姿勢の 安定性を高め、自分のカラダや手足を自由に使う必要があります。 姿勢についての理解を深めるために、子どものカラダの発達について考えていきたいと思います。 1、姿勢づくりに必要なカラダの発達について ①カラダはどのように発達する? カラダの発達は頭(首が座る)から足(立つ・歩く)に向かって発達します。生まれたばかりの赤ちゃんは床に寝ている状態(2次元)ですが、6ヶ月ごろにお座り(3次元)ができるようになり1歳頃にはバランスをとりながら歩くようになります。 ②安定して座る・立つ・歩くために必要なことは? 安定して座る、立つ、歩くためには体幹の安定が必要です。運動発達の中で赤ちゃんは仰向けて足を触る(ボトムリフティング)、うつ伏せで背中を反る(エアプレーン)ことを通して体幹の安定性を作ります。それが安定して座ることや立つこと、歩くことにつながります。また、伝い歩きで中腰や足の裏でしっかりと地面を踏み締めることを通して立つ・歩くことのバランス能力を高めていきます。 (57ページ) ③姿勢を観察するポイントは? 姿勢が不安定な場合、背もたれにもたれる、お尻が前ズレする、机にもたれて座る様子が観察されます。 しかし、書く、食べるなどの作業を行うときには良い姿勢になる場合は、カラダの問題以外から考える必要があります。 姿勢の崩れは筋肉の柔らかさから起こる場合、注意集中の問題、課題が子どもに合っていないなどが考えられます。 また、運動をしている場面では、走るときに手足がバラバラに動く、フラフラしている、走っているけど急に止まれないなどがあると、姿勢の不安定さが考えられます。 2、姿勢作りに必要な環境の工夫 ①椅子と机の高さを子どもに合わせること 椅子は膝が90度に曲がり足裏が床につく高さ、机は机上に手を置いたときに脇が開かない高さにしましょう。また、足裏に体重がかかり重心を前方に移しやすいように、背もたれと背中に隙間がある場合は詰め物をしましょう。 ②お尻の前ズレを防ぐこと 座面に滑り止めシートを敷くと良いです。 ③注意集中しやすいような環境を作る 掲示物など刺激が多いと注意が途切れます。それが姿勢崩れにもつながります。 (58ページ) 「わたしだってできる!」をめざした支援 四天王寺大学 准教授 長澤 洋信 学校教育において、生活年齢が重要な基準になっていますが、同学年であっても知的発達の程度には差がありますし、身体機能や認知機能の発達状況をこまかくチェックすると、発達の様相が個々に違うことに気づくことができます。全体的に定型発達の範囲内であれば、学年相当の授業でほぼ支障はないのですが、発達の凸凹が大きいと、「みんなと同じようにできない」「やりたいけどわからない」と、もどかしい状況になってしまいます。 文部科学省が「子どもはひとりひとり異なる資質や特性を有しており、その成長には個人差がある一方、子どもの発達の道筋やその順序性において、共通して見られる特徴がある」と述べているように、発達の程度には個人差がありますが、基本となる道筋と順序性があります。発達に順序性があるということは、発達には段階があり、どの子どももそのプロセスを経て、発達を遂げていることを意味しています。 学校現場で子どものつまずきに気づいた時、繰り返しの学習で定着を図ることは間違いではありません。やはり経験の蓄積は重要ですから、定着するまで反復的に学習する必要があります。ただし、「なぜつまずいているか」がわかると、定着に至るまでの効果的な学び方のヒントがみえてきます。にがてな方法と得意な方法がみつかったら、まずは得意な方法から進めるべきでしょう。にがてな方法だけで反復的に学び続けると、学習性無力感に陥り、さらに学習を避けるようになってしまうかもしれません。 心理学者であるヴィゴツキーの発達理論では、子どもは他者との関わりを通じて発達を遂げるため、自然の成り行きに任せて発達を待つのではなく、発達の最近接領域に対して働きかける教育が重要であるとされています。子どもにつまずきがみられるのであれば、教員がつまずきの要因をさぐり、「やり方を変えたらできる」「ヒントがあったらできる」といった教育的なアプローチを通して、発達を促す働きかけをすることが必要です。 学習に対して不安になっている子どもが「わたしだってできる!」という自己効力感を実感することは、学びや社会生活の基礎を培う幼・小・中学校期においてとても重要です。ぜひ、つまずきの要因を丁寧に検討した上で、教育的な働きかけを考えてみてください。 (59ページ) 高等学校段階の生徒への支援で大切にしたいこと 大阪大谷大学 教授 小田 浩伸 大学の障がい学生支援室(通称:アクセスルーム)では、さまざまな障がいや特性、またそれに伴う困りごとを抱える学生に対し、合理的配慮の提供を検討し、各学部・学科の担当教員へその配慮を依頼する役割を担っています。こうした業務を通じて、障がいや特性を持ちながらも充実した大学生活を送る学生には、共通する特徴があることが分かりました。その中でも、特に重要と思われる5点を以下に挙げます。 ① 自分の障がいや特性を理解しようとする姿勢があること ② 家族の理解や協力が得られていること ③ 通学の距離や手段が負担になりすぎていないこと ④ 在籍学科の内容と本人の興味がマッチしていること ⑤ 学内に相談先を確保し、適切に相談できるスキルを身につけていること このうち、②~④はすべての学生に共通する要素ですが、障がいのある学生にとって特に重要なのは、①「自己理解の姿勢」と⑤「相談スキルの確保」の2点です。そこで、高等学校段階の支援においても、この2点を重視することが重要と考えます。 【自己理解を深める支援】 自分の強みや特性を理解することは、大学生活だけでなく、その後の社会生活にも不可欠です。そのためには、他者からのフィードバックを受け入れ、自分を客観的に振り返る機会を増やし、必要に応じて自己修正できる力を育む支援が求められます。高等学校では、こうした自己理解を促す環境を整え、生徒が自らの特性を前向きに捉えられるような継続的な支援が重要です。 【相談スキルを高める支援】 大学・社会生活では、適切なタイミングで適切な人に相談できるスキルが、困難を乗り越えるための重要な要素となります。そのため、高等学校段階で、担任の先生や保健室・クラブの顧問、心理カウンセラーなどの相談先を確保し、必要に応じて相談する習慣を身につけることが大切です。 こうしたスキルが身につくことで、問題が深刻化する前に支援を受けることができ、失敗体験の蓄積を防ぎながら自己肯定感を高めていくことにつながります。 【まとめ】 以上のことから、「高等学校段階の生徒への支援で大切にしたいこと」として、以下の2点を挙げたいと思います。 ◇自分の特性を理解しようとする姿勢を育むための継続的な支援 ◇校内の相談先を確保し、具体的な相談スキルを高める支援 大学生活の視点から「社会参加を見据えた高等学校段階の支援」を考えると、これらの2点は特に大切にすべき観点であると考えます。 (60ページ) 子どもの姿25事例の要因に関連する自立活動の目標記入例 各ページ【こんな様子はありませんか】に示す要因に対し、自立活動(長期目標)の記入例を挙げました。 実際に指導・支援を行う際は、子どもの実態を「自立活動6区分27項目」と関連づけながら、優先課題を選定し、目標を設定してください。 自立活動6区分27項目 区分 1健康の保持 観点 生命を維持し、日常生活を行うために必要な健康状態の維持・改善を身体的な側面を中心として図る 項目 ⑴ 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること ⑵ 病気の状態の理解と生活管理に関すること ⑶ 身体各部の状態の理解と養護に関すること ⑷ 障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること ⑸ 健康状態の維持・改善に関すること 区分 2心理的な安定 観点 自分の気持ちや情緒をコントロールして変化する状況に適切に対応するとともに、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服する意欲の向上を図り、自己のよさに気付く 項目 ⑴ 情緒の安定に関すること ⑵ 状況の理解と変化への対応に関すること ⑶ 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること 区分 3人間関係の形成 観点 自他の理解を深め、対人関係を円滑にし、集団参加の基盤を培う 項目 ⑴ 他者とのかかわりの基礎に関すること ⑵ 他者の意図や感情の理解に関すること ⑶ 自己の理解と行動の調整に関すること ⑷ 集団への参加の基礎に関すること 区分 4環境の把握 観点 感覚を有効に活用し、空間や時間などの概念を手掛かりとして、周囲の状況を把握したり、環境と自己との関係を理解したりして、的確に判断し、行動できるようにする 項目 ⑴ 保有する感覚の活用に関すること ⑵ 感覚や認知の特性についての理解と対応に関すること ⑶ 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること ⑷ 感覚を総合的に活用した周囲の状況についての把握と状況に応じた行動に関すること ⑸ 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること 区分 5身体の動き 観点 日常生活や作業に必要な基本動作を習得し、生活の中で適切な身体の動きができるようにする 項目 ⑴ 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること ⑵ 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること ⑶ 日常生活に必要な基本動作に関すること ⑷ 身体の移動能力に関すること ⑸ 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること 区分 6コミュニケーション 観点 場や相手に応じて、コミュニケーションを円滑に行うことができるようにする 項目 ⑴ コミュニケーションの基礎的能力に関すること ⑵ 言語の受容と表出に関すること ⑶ 言語の形成と活用に関すること ⑷ コミュニケーション手段の選択と活用に関すること ⑸ 状況に応じたコミュニケーションに関すること 引用:自立活動ハンドブック(中学校版)~「ともに学び、ともに育つ」教育の継承とさらなる発展のために~(大阪府教育庁 教育振興室 支援教育課) (61ページ) 自立活動の目標記入例 1.文字の形が整わない 正しい姿勢を保持することができる。 行やマスを意識しながら枠内に書くことができる。 2.板書を写すのに時間がかかる 時間内に必要量を写すことができる。 見本を確認しながら、写すことができる。 3.音読がにがて 音声教材の活用など自分に合った方法を選ぶことができる。 文字と音を対応させることができる。 4.聞いてもすぐ忘れてしまう 話を聞きながら、メモをとることできる。 指示された内容を整理できる。 5.教員(人)の話を聞いていない 聞いた内容に基づいて行動できる。 話す相手の顔を見ながら話を聞くことができる。 6.算数・数学の文章問題がにがて 問題文を読んで、絵や図に整理できる。 文章の重要な箇所に下線を引くことができる。 7.イメージすることがにがて よりよい行動について考えをまとめ、具体的な行動とその理由について自分の言葉で説明できる。 質問に対して、理由や根拠を挙げて説明できる。 8.学習が定着しにくい 自分に必要な学習環境や支援を理解できる。 自分に合った学び方を知ることができる。 9.集中力が続かない 自分が集中しやすい環境を理解できる。 活動内容に見通しを持つことができる。 10.特定のことに集中しすぎる 気持ちの切り替えをする方法を身につけることができる。 優先順位をつけることができる。 11.衝動的な行動をする 気持ちを落ち着かせるための方法を知ることができる。 ルールに合わせた行動ができる。 (62ページ) 12.思わず乱暴な言動をしてしまう 自分の気持ちを表現する方法を知ることができる。 自分で落ち着く方法を知ることができる。 13.不注意な行動をする 持ち物チェックリストで持ち物を確認できる。 一定時間、集中力を保つことができる。 14.不器用である 模倣運動ができる。 正しい姿勢を保持することができる。 15.授業中に教室内を立ち歩く 動きたくなったときの代替行動を身につけることができる。 活動の流れを理解できる。 16.教室に入りたいけれど入れない 刺激を軽減する方法を知ることができる。 自分と異なる意見があると知ることができる。 17.授業中、教室から出ていく 「やりたいこと」と「やらなければいけないこと」を整理できる。 小集団での活動に参加することができる。 18.ルールの理解が難しい ルールの必要性について理解できる。 ルールに合わせた行動ができる。 19.場にそぐわない発言をする 周囲の状況に応じた言動を知ることができる。 相手の気持ちを推測できる。 20.自分の気持ちを伝えることがにがて 自分の気持ちを教員(支援者)と一緒に整理できる。 自分の気持ちを言葉で表現できる。 21.暴言をいう 自分の気持ちを客観的に理解できる。 気持ちを落ち着かせるための方法を知ることができる。 22.相手の気持ちを考えて会話することがにがて 様々な感情があることを理解できる。 自分の発言が相手に与える影響について知ることができる。 23.一方的に話すことが多い 相手の反応に気づくことができる。 話す前や途中で、相手の状況を確認する方法を身につけることができる。 (63ページ) 24.ヘルプを出すことが難しい 必要なときに「手伝って」と言うことができる。 助けが必要な場面を理解できる。 25.自尊感情が低い・自信がない 自分の強みを知ることができる。 安心できる人に自分の気持ちを伝えることができる。 (64ページ) 索引 か行 学習環境…9、10、14、20、21、22、23、24、27、30、31、34、35 感覚の過敏性…22、26、27、28、29、30、31、36、44、45 感覚の鈍感性…22、28、29、30、31 感情の理解…29、39、49、51 眼球の動き…6、7、8、10、32、33 聞く力(聴覚的短期記憶)…14、15、37、48、49、51 共感…38、39、46、47、49、51 協調運動… 32、33 言語化…15、17、44、45、47、51、55 コミュニケーション…15、19、29、52 語彙力…7、10、11、12、14、15 合理的配慮…9、10、14、21、22、23、24、27、30、31、34、35 さ行 思考の固さ…36、37、42 姿勢保持 …6、22、23、26、32 自己肯定感…27、46、48、55 自己調整力…29、37、41、43 自己理解… 25、27、29、31、49、55 成功体験 …8、9、23、27、29、35、37、38、44、46、53、54、55 ソーシャルスキルトレーニング(SST)…18、29、49、52、53 粗大運動・微細運動…33 た行 他者感情…42、48、49、50、51 他者理解…25、49、55 短期記憶・長期記憶…8、9、12、13、14、15、18、19、21、48、49 注意・集中…6、7、12、13、14、30、40、41 な行 人間関係…36、52 (65ページ) は行 ビジョントレーニング…8、10 表情理解…47 不器用…6、7、32、33 ポジティブ行動支援…53 ボディイメージ…23、32、33 ま行 見通し…14、15、22、23、24、25、34、55 や行 優先順位…24、30、31、39 抑制…26、27、28、34、35、38、39、40、41、46、47、50 ら行 ルール…18、19、27、34、35、36、40、41、42、43、47、50、51 論理的思考…16、17、19 わ行 ワーキングメモリ…15、19、20、30、31 (66ページ) 本ガイドブックに関連するリンク集 (67ページ) (68ページ) 【参考文献】 宮口幸治、宮口英樹『身体面のコグトレ 不器用な子どもたちへの認知作業トレーニング【増補版】よくわかるDVDつき』三輪書店(2023年) 宮口幸治、宮口英樹『社会面のコグトレ 認知ソーシャルトレーニング 1 段階式感情トレーニング/危険予知トレーニング編』三輪書店(2020年) 宮口幸治、石附智奈美、井阪幸恵『社会面のコグトレ 認知ソーシャルトレーニング 2 対人マナートレーニング/段階式問題解決トレーニング編』三輪書店(2020年) P.A.アルバート、A.C.トルートマン『はじめての応用行動分析 日本語版第2版』佐久間徹、谷晋二、大野裕史(訳)二瓶社(2004年) 岡田智、森村美和子、中村敏秀『よくわかるソーシャルスキルトレーニング(SST)実例集』上野一彦(監修)ナツメ社(2012年) 中尾繁樹『不器用な子どもたちの感覚運動指導』明治図書(2013年) 岩坂英巳、宮﨑義博『発達障害のある子どもがいきいきと輝く「かかわり方」と「工夫」 「うまくいかない」ことが「うまくいく」に変わる!』幻冬舎(2021年) 大阪府人権教育研究協議会『いま、どんなきもち?』大阪府人権教育研究協議会(大人教)ホームページ 令和6年度 令和7年度 大阪府教育センター 調査・研究 通常の学級に在籍する支援が必要な子どもの指導・支援に関する調査・研究 【研究委員】 所属名 大阪大谷大学 職名 教授 名前 小田 浩伸(おだ ひろのぶ) 所属名 関西福祉科学大学 職名 教授 名前 丹葉 寛之(たんば ひろゆき) 所属名 四天王寺大学 職名 准教授 名前 長澤 洋信(ながさわ ひろのぶ) 【調査・研究協力員】 所属名 府立工芸高等学校 職名 教諭 名前 森治 健太(もりじ けんた) イラスト 所属名 府立八尾支援学校 職名 指導教諭 名前 北野 香(きたの かおり) 執筆・イラスト 所属名 門真市立第七中学校 職名 教諭 名前 奥井 亜須加(おくい あすか) 執筆 所属名 和泉市立国府小学校 職名 講師 名前 井阪 幸恵(いさか ゆきえ) 執筆 所属名 大阪府教育センター附属高等学校 職名 教諭 名前 倉石 貴行(くらいし たかゆき)(R6) 所属名 松原市立松原第四中学校 職名 教諭 名前 花岡 沙紀(はなおか さき)(R6) 所属名 羽曳野市立白鳥小学校 職名 教諭 名前 仲村 倫子(なかむら のりこ)(R6) 【調査・研究協力校】 府立野崎高等学校・府立布施高等学校・府立富田林高等学校 府立柴島高等学校・府立箕面東高等学校・府立和泉総合高等学校 大阪府教育センター附属高等学校・府立中央高等学校 交野市立藤が尾小学校・河内長野市立東中学校 松原市立松原第二中学校・羽曳野市立白鳥小学校 【協力】 大阪府教育庁 教育振興室 高校改革課 共生・魅力発信グループ 大阪府教育庁 教育振興室 支援教育課 支援学級グループ 【作成・編集】 大阪府教育センター カリキュラム開発部 支援教育推進室 (裏表紙) 大阪府教育センター 令和8年3月 発行 〒558-0011大阪市住吉区苅田4丁目13番23号 TEL 06(6692)1882 FAX 06(6692)1898 URL http://wwwc.osaka-c.ed.jp