子どもとのかかわりQ&A

✿乳児期

Q:赤ちゃんが泣き止まず、イライラして手をあげそうになる(3か月)

3か月。母親の私が何をしても子どもが泣き止まないことがあり、イライラして手をあげそうになります。こんな時はどうしたらいいのでしょうか?

 赤ちゃんが泣く時には、お腹がすいた、おむつが濡れて気持ち悪い、抱っこしてほしい、安心したい等、様々な理由があると言われています。「おむつが濡れて泣いているのかな?」と思っておむつを替えてあげてもなかなか泣き止んでくれないと、本当に疲れてしまいますよね。イライラすることだってあるでしょう。
 まだ言葉も分からない赤ちゃんですが、お世話をしてあげる時に「お腹がすいたのかな?」「気持ち悪かったんだね」「よしよし、大丈夫だよ」等、声をかけてあげるといいと言われています。お母さんの声から赤ちゃんも安心し気持ちも安定するようです。
 ただ、生後3か月というとお母さんもまだ体調が整わず授乳で睡眠も不十分なため、身体もこころもしんどいことがあると思います。そういう時は余裕がなくなって、なかなか声をかけてあげることもできないかもしれないですね。イライラして手をあげそうになる時は、お母さんもとても疲れているというサインだと思います。周りの人にしんどいということを伝えて、お母さんも休養する時間が取れるように協力してもらうことが大切です。一人でがんばらずに、周りの人を頼ってくださいね。例えば、保健センターの保健師さんに相談してみてください。
 それから、赤ちゃんは泣くものですし、何をやっても泣き止んでくれないこともあります。無理に泣き止まそうと思って自分を責めないようにしてくださいね。 

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Q:人見知りがひどく、あまりに泣くのでつい抱っこをしてしまう(9か月)

9か月。人見知りがひどく、母親の私が抱っこしないと泣き止みません。あまりに泣くので、ついつい抱っこしてしまうのですが、これを続けていてもいいのでしょうか?

 お母さんの抱っこでないと泣き止まず、お父さんやおじいちゃん、おばあちゃんではだめで、ご機嫌が直らない、ということは、この時期の赤ちゃんによく見られる特徴です。抱っこすれば泣き止むために、とりあえず抱っこするけれど、今度は、「泣けば抱っこでは抱き癖がついてしまう」とか、「甘やかしだ」等と言う人もいて、どっちがいいものかと悩むこともあるかもしれませんね。
 この時期、赤ちゃんの中では、自分とかかわってくれる見慣れた人とそれ以外の人との区別が付き始めます。また、一番よく接している人との間で「愛着」というこころの絆が強まっていく時期でもあります。そのため、知らない人と接したり初めての場所に来たりというような「不安」を体験すると、「安心」を取り戻そうとして、一番安心できる存在である人(お母さん)に抱っこを求めるのです。まるで、お母さんが安全基地・こころのエネルギーの補給地という役目をはたしているようですね。こうして、不安なことがあってもまた落ち着くことができる、安心することができる…という体験を積み重ねるうちに、お母さんがいなくても、落ち着いていられるようになってくるのです。一般に、2歳になるころには、親が少しくらいの間いなくても安定して過ごせるようになると言われています。
 「愛着」をしっかり育て、「安心」を繰り返し体験してもらうことがこの時期はとても大事です。不安を感じる度合いには個人差があるので、常に抱っこを求める赤ちゃんもいれば、案外平気な赤ちゃんもいるでしょう。その子に合った安心感を与えてあげる、と考えてみるといいかもしれませんね。
 そうかと言って、赤ちゃんの世界が広がり始めるこの時期、人見知りするからと他人を遠ざけ、安心できる人だけの世界になってしまうのはもったいないことです。お母さんに抱っこされた状態で、「〇〇さんですよ、こんにちは~」と近づいてみるとか、知人を見て泣き出した赤ちゃんに、「びっくりしたね。大丈夫だよ、友だちだよ」となだめる等、不安にさせることを必要以上に恐れることなく、安心の体験を積み重ねてあげましょう。

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Q:忙しいのでスマホやタブレットの動画ばかり見せてしまう(12か月)

12か月。夫の帰りが遅く、家事や育児を手伝ってくれる人もいないので、子どもにスマホやタブレットの動画を見せていることが多くなっています。機嫌よく見ていますが、ずっと見せていても大丈夫なのでしょうか?

 お母さんが誰かの助けなしに家事も育児もこなすのは、本当に大変なことです。子どもに、安全に静かに遊んでいてほしい時にスマホやタブレットの動画を見せて機嫌よくしておいてもらうことが、悪いわけではありません。
 ただ、この時期の子どもにとっては、自分が動いたり声を出したりすることで、周りが応えてくれたり、何かが変化するという体験をすることが大切です。子どもの自発的な働きかけに対して、豊かな反応が返ってくることが、周りの世界への興味関心を広げていくことにつながるのです。
 画面上の動画はどうしても、一方通行のものが多く、お子さんの反応を拾ってリアクションしてくれるものばかりではありません。双方向のものであっても、パターン化されたものが多くなりがちです。そのため、子ども自身の周りへの働きかけの幅が広がりにくくなってしまいます。子どもが声を出したり、喜んだりしている様子を、つぶさに感じ、応答してくれる人とのかかわりは、何ものにも代えがたいものがあります。
 たとえ短い時間であっても、直接触れ合える時には、子どもの反応に対して「〇〇だね」と言葉をかけたり、一緒に遊んだりしてあげるような「やりとり」を大切にしてくださいね。

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✿幼児期

Q:同い年の子より言葉が遅いように思う(1歳6か月)

1歳6か月。おとなしくて一人で遊んでいても特にぐずりもしないので困っていないのですが、同い年の子どもを見ると言葉が遅いような気がして心配しています。

 このくらいの時期は、言葉の発達の個人差が大きく、周りの子と比べて不安になりやすいかもしれませんが、2歳近くになるまで、言葉らしい言葉が出ていなくても、出始めるとどんどんしゃべるようになる子どももいます。また、話し始めることが遅くても、「立っちしよう」「ごはんの時間だよ」等の簡単な声かけの意味を理解し行動できているようであれば、あまり心配せずに、言葉が出始めるのを待ってみてもいいかもしれません。また、言葉が話せなくても、表情がイキイキとしていて、欲しいものを指さして、いかにも取ってほしそうに「あーあー」という等、しぐさや態度で自分の意思を伝えられるなら、やはり心配せずに待ってもいいのではないでしょうか。
  しかし、親としては気になり、何かできることはないのだろうかと思いますよね。「待てばいい」といっても、お子さんのペースに合わせて言葉を促すことも大切です。何かしようという時に、お子さんから思ったような応答がなくても、たくさんの言葉をかけてあげてください。例えば、着替える時であれば「さあ、お着替えしようね」「はい、お手て出してね~」等、一つひとつの動作を言葉にしたり、食事の際には「ごはん、もぐもぐしよう」「あーん、よくできたね~。パチパチパチ~」と子どもが真似しやすい言葉をかけてみるのもいいですね。絵本の読み聞かせも、お子さんにいろいろな言葉をかけてあげるきっかけとなるのではないでしょうか。テレビや一方通行のスマホの動画等は、言葉という音声の刺激がお子さんに入っていくだけになり、言葉の発達にはつながりにくいものです。言葉はお互いのやりとりを通じて、つまりコミュニケーションを取る中で発達していくものです。そのため、一緒に何かをする中での声かけを大切にしてもらえたらと思います。
 ただし、呼びかけてもこちらを見ないとか、反応がにぶい、表情が乏しい、言っていることが理解できていないみたいだといったことがあれば、一度保健センター等の専門機関に相談してみてください。

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Q:何を言っても「イヤ」「ダメ」とばかり言うのでつい怒ってしまう(2歳6か月)

2歳6か月。何を言っても「イヤ!」「ダメ!」と自分の思い通りにしようとします。あまりに言うことを聞かないので、思わず大きな声で怒鳴ってしまい、よけいに状況が悪化してしまいます。どのようにしたらいいでしょうか?

 「さあ、これをしよう」という時に子どもが動いてくれないと、本当に焦ってしまいますよね。時間も迫ってくるし大きな声を出したくなることもあるでしょう。
 この時期の子どもは、できることも増えて「自分でやりたい!」「自分で決めたい!」という気持ちが強くなってきます。自我の芽生えです。でも先を見通して自分をコントロールする力がついてくるのはもう少し先です。「お出かけする時間だよ」と言われても「遊びたい!」という気持ちでいっぱいで、遅れたらどうなるかを考えて気持ちを切り替えるのはとても大変なことなのです。
 ごはんや着替え等への「イヤ!」「ダメ!」もありますね。お母さんやお父さんの言っていることはイヤで、自分で決めたい。でも、じゃあ何ならいいのか、どうしたらいいのかはよく分からない。それで気持ちのおさまりがつかなくなってしまうのです。
 こういった「イヤ!」「ダメ!」は、子どもにとって自己主張するとともに気持ちをコントロールできるようになるための大事な通過点です。子どもが上手く気持ちを切り替えていけるように助けてあげてくださいね。
 まず「イヤなんだね」と気持ちに寄り添ってあげてください。遊び続けたい場合は、「遊びたいよね」「これ面白いよね」等、話しかけてあげながら「でも遅れちゃうよ」「みんな、待ってるよ」等、伝えてみてください。ごはんや着替え等の場合は、「じゃあ、これにする?それともこっちがいいかな?」と子どもが選択できるようにしてあげると気持ちの切り替えがしやすいようです。子どもが魅力的、楽しそう、面白そうと思えるようなものを見つけてあげると、パッと気持ちが変わることもあります。子どもも何とか気持ちを立て直そうとしていますので、お父さん、お母さんもいろいろと試行錯誤して工夫してみてくださいね。そして上手く切り替えられたらいっぱい褒めてあげてください。

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Q:オムツは取れたのに、また、おもらしが始まった(3歳)

3歳。一度オムツが取れたのですが、下の子が生まれてからおもらしが再開し、叱ってしまいました。するとますます失敗が増えてしまいました。生まれたばかりの下の子もいるし、とても大変です。

 3歳のお子さんに、きょうだいが生まれたのですね。まだ幼いお子さんを抱えての赤ちゃんのお世話の日々、お母さん、お父さんはゆっくり休む暇もないはず。そんな中、オムツが取れたはずのお子さんがおもらしをしてしまったのですね。ついイラっとしてしまう気持ち、誰しも覚えがあるかと思います。
 上のお子さんは、新しい家族が生まれたことを、どう受け止めているのでしょうか。多くの子は、お兄ちゃん・お姉ちゃんになったという誇らしく嬉しい気持ちと同時に、お父さんやお母さんを独り占めできなくなったという寂しい気持ちの両方を持つようです。まだまだ甘えたい年齢ですから、「お兄ちゃん・お姉ちゃんだから」と言われて我慢できる時ばかりではないですよね。おもらしに限らず、何かと親をわずらわせるようなことや困った行動をとって、振り向いてもらおうとするお子さんも少なくありません。もちろん、わざとではありませんが、「もう一度赤ちゃんみたいにお世話してもらいたい」という意識がどこかで働くのです。いけないことや危ないことをした時は、叱ることも必要ですが、できていたことができなくなったり、赤ちゃんに戻ったような行動をとっている時は、あまりそこに注目せずそっとしておきましょう。そして、元気に遊んでいる時に一緒に遊んであげたり、その年相応にできたことがあった時に思い切り喜んであげたりして、お子さんの「かまってほしい」「こっちを向いてほしい」という寂しい気持ちに応えてあげる時間を作ってあげられるといいでしょう。自分が満たされていくと、自分より小さい子どもを手伝ってあげたり、優しくしようというこころが育まれてきたりします。そして、「お兄ちゃん・お姉ちゃん」としての自分に満足していく中で、赤ちゃん返りは徐々に少なくなっていきますよ。

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Q:友だちと仲よく遊べない(4歳)

4歳。友だちとおもちゃの取り合いになると叩いたり押したりして泣かせてしまいます。仲よく遊べるようになるのでしょうか?

 家の中で家族や近しい人とだけ接してきた子どもにとって、集団生活を通して初めて思い通りにならないことや我慢しなければならないことが起こってきます。子どもたちは、このような他者との「やりとり」を通して、人との関係を学びます。この時期の子どもは、言いたいことをまだ上手く言葉にできません。自分の中にわいてくる感情をどう表現すればいいのか分からず(どういうものなのか理解できず)、イライラして叩いたり押したりする行動に出てしまうのでしょう。しかし、叩いたり押したりしたことだけを叱っても、子どもはどうしたらいいのか分からず混乱してしまいます。「もっとやりたいのに悔しかったね」等、子どもの気持ちを言葉で表現するのを助けながら、「でも、〇〇ちゃんもやりたいんじゃない?順番に交代しようか?」と、他の子にゆずることの大切さも教えてあげてください。
 すぐに我慢できるようになるわけではありませんが、少しずつ伝えていくこと、言い聞かせていくことが大切です。そして、ルールが守れたりゆずってあげることができた時には、しっかりと褒めてあげましょう。そうした中で、自分から進んでルールを守ることで、より一層周りと上手くやれるようになり、友だちと遊ぶことが楽しいと思えるようになっていきます。そうすると、仲間の一員として人とかかわることに自信も持てるようになるでしょう。 
 ただ、時間がかかることではありますので、家庭だけで抱え込まずに、幼稚園や保育園等の先生にも相談してみてくださいね。

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Q:一人遊びが多い(5歳)

5歳。幼稚園で一人遊びが多く、いつまでも同じ遊びを続けて、みんなと一緒に行動することができません。

 幼稚園でみんなと一緒に行動することができない姿を見ると、ハラハラしますし、みんなと同じように行動してほしいと思ってしまいますよね。「みんなと同じ」ことが、まるで「普通」であるかのように思われがちですが、5歳の子どもであっても、それぞれに個性があり、自分のペースがあります。
 「一人遊び」や何か一つのことに熱中していると、「友だちができないの?」と心配になることがあるかもしれません。しかし、お子さんの表情をよくみてあげてください。真剣に何かを考えていたり、楽しそうに熱中しているとすれば、いろいろなアイデアを自分なりに試していたり、自分が思い描いた物語の中で遊んでいたりするのかもしれません。つまり、自分の中の自由な世界に集中するというとても大切な時間でもあります。そのため、嫌がるのを無理に止めさせたりせず、子どもの集中力がゆるんだ時に、「次は~しようね」「友だちが待ってるよ」等、声をかけて、次の行動を促してあげましょう。少しずつ周りの状況が判断できるようになり、次のことに移れるようになっていきます。
 また、引っ込み思案で、積極的に自分から入っていくことができず、一人で過ごしているという場合もあるかもしれません。一人で遊んでいても周りのことは観察していて、興味があるのにどうしていいか分からずにいるという場合もあるでしょう。そうした時には、友だちにどういうふうに声をかけてみるかを一緒に考えてみたり、幼稚園の先生にみんなの輪に入れるようサポートをお願いしたりしてもいいと思います。
 ただし、みんなが次の行動に移っているのに気付かず、個別に声をかけてもその遊びを止めることができなかったり、みんなと行動することを促すと激しく混乱したり(泣きわめいたり、パニックになる等)するような場合には、一度専門相談機関に相談されてもいいかもしれません。

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✿児童期

勉強の習慣が身に付かず困る(小2)

小2。学校から帰っても宿題をせず、遊んでばかりいます。家でも机に向かう習慣を付けたいのですが、どうしたらいいのでしょうか?

 子どもは、学校でいろいろなことを学んで帰ってきます。家で宿題を通して復習したり練習したりするのはとても大切ですね。でも、この時期は「やらねばならないから勉強する」ということよりも、「面白い!」「やってみよう!」とか「もっと、がんばろう!」という気持ちを育てることが大切です。このことは、これから先ずっと続いていく「学ぶこと」への意欲につながります。
 周りの大人は「こんなこと、習っているんだね。すごいね」と子どもが学んでいることに関心を持ってあげてください。すると、子どもも勉強に興味を持つことができます。そして宿題をしたら「がんばったね!」と声をかけてあげてください。ノートに花丸がついていたら「すごいね」「よかったね」と言ってあげてください。一生懸命やったけど、あまり上達しなかったということだってあるかもしれません。それでも、努力したことを褒めてあげてください。そうすると子どもも「またがんばろう」と思えるようになります。このことが何よりも大切です。
 勉強することに対して「できた」「楽しい」「嬉しい」という気持ちが生まれてくると、机に向かうようになるのではないかと思います。
 余裕がある時は、大人も子どものそばで本や新聞を読んだり書きものをしたりして、一緒に机に向かう時間を作るのもいいでしょう。お父さんやお母さんの姿を真似したい年ごろでもありますし、「自分も」と自然と机に向かうきっかけになるかもしれません。

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Q:落ち着きがないように見える(小3)

小3。授業参観に行くと、先生の話を聞かずに隣の友だちにちょっかいをかけたり、キョロキョロしたりしていました。参観後、先生から字を書くのが遅いと言われました。以前から落ち着きがないとは思っていましたが、その上、字を書くのも遅いと言われ心配になりました。どこかに相談に行った方がいいのでしょうか?

 授業参観は、普段と雰囲気が違いますので、お子さんも緊張していたり、気持ちが高ぶっていたりすることが少なくありません。小学校3年生くらいになってくると、落ち着いている子も多いので、先生の話を聞かず友だちにちょっかいをかけたりキョロキョロしたりしていると、低学年のころより気になるかもしれませんね。学年が上がると、黒板を見てノートに写す内容が増えてくるため、気が散りやすいと字を書くのが間に合わないかもしれません。
 授業参観以外の場面でも同じように落ち着きがないのか等、先生にお子さんの普段の様子をもう少し詳しく聞いてみてはいかがでしょうか。その際に、授業時間内にノートが取れていなかったり、授業内容が理解できていなかったり等の心配ごとが出てくるようであれば、単なる性格や書くことに限った問題ではない可能性があります。その場合は、お子さんの発達面での特徴を把握し、環境を工夫したり、適切な支援を考えたりすることが必要かもしれません。
 お子さんの行動の背景に何があるのかを知り、必要なかかわりを考えることが大切です。一度、スクールカウンセラーや専門機関に相談してみてください。

*生活面での大きな変化やショックなできごとがある等、気持ちが不安定となって、落ち着きがなくなることもあります。

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Q:友だちとの関係に悩んでいる(小4)

小4。仲よしグループでいつも遊んでいますが、時々友だちとのけんかのエピソードや上手く言い返せなかった時の話をします。友だち同士のことなので様子を見ようかとも思いますが、それでいいのでしょうか?

 友だちとのかかわり方で、お子さんが困っている様子を見ると心配になり、このまま様子を見ていていいのか?大人が手助けをしてあげるべきなのか?と悩みますよね。
 小学校高学年くらいになると、子ども同士で過ごす時間も増え、大人を介さずに自分たちで問題を解決するようになります。そのことが、人との付き合い方を学んでいく機会にもなります。
 そのため、すぐに助けてあげたくなるかもしれませんが、まずはお子さんの話を聞いてみましょう。何があったのか、どう思ったのか、本当はどうしたかったのか、何が辛かったのか、どうなったらいいと思っているのか…ご本人の話をじっくりと聴いてあげてください。その上で、子どもが自分でできそうなこと、大人に手伝ってもらいたいことについて一緒に考えていきましょう。
 話を聴く中で、子どもだけの力で解決することが難しいと判断した場合は、学校の先生に相談してください。特に、いじめが疑われる場合は、ためらわずに学校の先生やスクールカウンセラーに相談することが重要です。

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✿思春期

Q:ちょっとしたことでも反抗するのでどう接していいか分からない(中2)

中2。最近はちょっとしたことで「うるさい」「黙れ」等言うばかりで、会話になりません。どう接したらいいのでしょうか?

 子どもが思ってもいなかった言葉で反発し始めると、親も傷つきますし、戸惑いますよね。
この時期の子どもは親しい友だちとのかかわりの中で「秘密」を共有しながら、自然に親との距離を取るようになっていきます。子どもは、親の言う通りではなく、自分の考えで行動したくなるため、親からのかかわりを干渉されていると受け取りがちです。そのため、かかわればかかわるほど、子どもは口を閉ざすようになることがあります。「うるさい」「黙れ」といった言葉も、親からのかかわりを跳ね返そうとしている子どもなりの手段の一つとも言えるでしょう。
 しかし、この時期の子どもは自分の力だけではすべてのことを解決していくことが難しいため、葛藤することや、こころが不安定になることがあります。そのため、親に反発する一方で頼ってきたり、距離をとったかと思うと何となくそばにいたりするということもあるのではないでしょうか。子どもは親から自立していくために、こうしたことを繰り返しながら前に進んでいくことになります。
 そのような子どもの揺れに付き合うことは、親にとっても大変なことです。親にも変化が求められる時期でもあります。小さかった子どものころとは違ってきているという変化を受け入れ、干渉しすぎず、必要な場面では子どもが何を考えているのかを聞き、その気持ちや考えを認めていくことが大切になってきます。親として意見を述べることが必要な場面もありますが、一方的に親の言い分や価値観を押し付けるのではなく、一人の対等な人間としての意見を伝えてみてください。そうすることで、自分を認めてもらえたという安心感につながり、次第にむやみな反発は少なくなっていくと思われます。
 ただし、言葉での反発にとどまらず、暴言や暴力が出ている場合には注意が必要です。親だけでもかまいませんので、専門相談機関にまずは相談してみましょう。

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Q:スマホ依存にならないか心配(中3)

中3。学校から帰るとスマホでゲームやSNSばかりしています。ごはんの時もスマホを離さず、話しかけても生返事ばかりです。スマホ依存にならないか心配です。

 

 スマホは大人でもついつい長時間使ってしまうものです。ましてコントロール力が十分でない子どもたちは、スマホが手放せないということになりがちです。こんな時は、家族みんなでスマホの使い方について話し合うことが大切です。
 この時期の子どもは、興味や関心のあることを通して互いの共通点を確かめ合います。スマホやSNSはそれに格好のツールと言えるでしょう。自分が友だちからどう思われているかにも敏感なため、SNSでのやりとりも気になるし、タイムリーに対応しないと仲間外れになってしまうという不安もあるでしょう。そのためいつでもスマホが気になるということになりがちです。
 また、学校で友だち関係が上手くいっていないような場合には、ネット上のつながりが居場所となり、スマホが孤独を癒す何よりも大切なものとなっている場合もあります。ゲームや動画が楽しくて止められないというだけでなく、子どもがスマホに熱中している場合にはいろいろな要因が考えられます。スマホについての話し合いは、このような子どもの気持ちに気付いていく機会にもなるかもしれません。
 まず初めにスマホについての子どもの気持ちを聴いて、その上で親の考えや心配していること伝えてください。スマホは親が契約しているもので、子どもが好きに使っていいわけではないことを伝えることが大切だと言われています。スマホを使い始めて時間が経っている場合は、今さら言いにくいかもしれませんが、この機会に伝えてみてはいかがでしょうか。
 「親が勝手に決めた」と不満に思っていると、子どもはルールを守りません。子どもの意見も尊重して、互いに納得のいくルールを作っていってください。スマホを使う場面や場所、使える時間等、具体的に決め、決めたルールを忘れないように紙に書いておくという方法もあります。親の使い方は子どものモデルにもなっています。例えば家族と過ごす時間は使わないと決めたら親も守りましょう。そしてまた、いつでもみんなで話し合えるようにしておきましょう。
 このような話し合いをしても、子どもがスマホを離せず、学校生活よりもスマホが大切となり、食事や睡眠もきちんと取らずスマホを続けるような場合には、依存症となっている可能性があります。このような場合には専門相談機関に相談することが大切です。

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Q:好きな同級生に1日に何回もSNSでメッセージを送る(中3)

中3。子どもが、好きな同級生に1日何回もSNSでメッセージを送っていることが発覚しました。親としてショックです。相手の同級生は相当しんどくなっているとのことです。二度と同じことをしないために、子どもにどう話をすればいいでしょうか。




 恋愛感情が芽生え、まだ自分でもその気持ちをどうしていいか分からない年齢です。好きな人に自分の気持ちを伝えることが難しく、相手から好意を持たれなかった時に自分の思いとどう折り合いを付けるのかも難しいです。経験を重ねていくことが大事なので、間違えた伝え方をしてしまったことについて、頭ごなしに否定するようなことはしないであげましょう。むしろ、「人を好きになる気持ち、そのものは大事だよ」と伝えてあげてください。その一方で、恋愛は一人でするものではなく、相手の気持ちをお互いが大事にすること、対等な関係であることを教えなければなりません。そして、今回のことで相手がどう感じただろうか、好きな相手に気持ちをどう伝えたらよかったのか、といったことも考えさせてみましょう。
 ただ、こういったことを、親子で話し合うのは、照れくさかったり、気まずかったりすることも少なくありません。また、一つのことに夢中になると切り替えが上手くできない、相手の気持ちを想像するのが苦手だ…という傾向があるお子さんの場合には、話し合い方に工夫が必要です。学校にも相談し、担任の先生や養護教諭、スクールカウンセラー等に協力してもらうといいでしょう。

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Q:「しんどい」とばかり言って何もしないので将来が心配(高1)

高1。がんばって志望校に入ったのですが「しんどい」ばかり言っています。部活も勉強も思ったようにいかないようで、最近は遅刻しがちです。自分が入りたいと思って入った高校で、どうしてがんばろうという気持ちになれないのかとつい腹立たしくなります。こんなことで社会に出てやっていけるのでしょうか。

 お子さんが志望校に入学のために努力していた様子を近くで見てこられただけに、思うような学校生活を送ることができないからと意欲を失くしている姿に、もどかしい思いをされているのですね。
 高校は、中学校までとは違って、学力的に同程度の生徒が多い場合があり、その高校の平均的な学力に合わせて授業や試験が行われ、成績が決まっていきます。部活も含め、様々な場面でやるべきことや求められることが中学校時代とは違っているため、思っていたような結果につながらず、気力が失われてしまうこともあるでしょう。
 高校生という年代は、これまで抱いていた自信のようなものが揺らぎ、自分自身について見つめ直していく苦しい時期でもあります。「できる」と思っていたことが「思っていたほどできない」という現実と向き合い、自分の中で折り合いを付けていくのは簡単なことではありません。時間をかけながら、できない部分だけでなく、自分のよさを再発見し自信を取り戻していくことが大切です。こうした過程を経て、子どもは社会に出る大人へと成長していくのです。
 そのためには、周囲の人の理解と支えが欠かせません。腹立たしく思えても、お子さんのしんどさを否定せず、今できていることやお子さん本来のよさを認めてあげることから始めてみてください。
 もし食欲低下や不眠が続いたり、行動や感情のコントロールができなくなるほど苦しんでいる様子がある場合は、スクールカウンセラーや専門相談機関に相談することが必要です。

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Q:外見ばかり気にして他のことに興味を持ってくれない(高2)

高2。最近外見ばかり気にして、メイクや髪のセットに非常に時間がかかります。暇さえあればSNSや動画を見て影響を受け、同じような化粧や服装をしたがり、アルバイトのお金も全部つぎ込んでしまいます。外見以外のことにも興味を持ってほしいのですが。

 外見が気になる年ごろとはいえ、それ以外のことに興味を持てないような様子を見ると、多感な時期に視野が広がらないのではないかと思えてしまいますよね。
 この時期は恋愛への関心も高まり、人に好かれたい、周りにとって自分はどう映っているのだろうか、どうすれば魅力的に見えるかということにこころを奪われ、自分の容姿にも強い関心が向いていきます。そのため、周りからの視線が気になるのも自然なことです。理想としている先輩、タレント、芸能人等のメイクや服装を真似することで、自分の中に理想像を取り入れようと必死なのです。その過程も子どもが「自分らしさ」を探している姿と言えます。また、SNSや動画を見て、外見だけではなく、その理想としている人たちの意見をあたかも自分の意見のように取り入れるということもあります。家庭外での重要な他者の姿や意見等、自分とは何かを探す手がかりとなり、子どもの成長に一役買っている面もあるのです。
 学校生活や日常生活に支障がないようであれば、様子を見ておいてもいいのではないでしょうか。無理に他のことに興味を持たせようとすると、自分を否定されたと感じてしまうかもしれません。今、お子さんが興味を持っていることに少し関心を持ってみるというのもいいかもしれませんね。
 ただし、学校生活や日常生活に支障が出てきたり、あまりにも極端なお金の使い方が続いたりする場合には、話し合いが必要です。その際には、一生懸命になれるものがあることを認めながら、現実的な時間やお金の使い方等について子どもの意見も聞いて検討していきましょう。

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Q:リストカットをしているようだ(高2)

高2。夏になってきたのに長袖ばかり着ようとするので変だなと思っていたら、学校から連絡があり、最近夜中にリストカットをしていると本人が保健室の先生に相談したとのことでした。どのように対応したらいいのでしょうか?

 お子さんがリストカットをしていると連絡をもらった時、ショックを受けるとともに「なぜ?」「どうして?」という疑問や「何をどうすればいいんだろう」という気持ちがわいてきたのではないでしょうか。
 お子さんにどのように接していくのがいいのか、そのことを考えるためにも、リストカットとはどういうものなのかを理解していくことが大切です。一般的にリストカットを含む自傷行為の背景には、友人関係のトラブル、いじめ被害にあっている、周りが期待するような自分になれないことへの苛立ち等、 様々な「こころの傷」があると考えられています。しかし、そういったことを言葉にできず、誰にも相談できずにいると、辛さ、苦しさ、しんどさがどんどん大きくなってしまい、自分では抱えきれなくなってしまいます。リストカットは、そういった「こころの痛み」を一時的に抑えるために「身体」に痛みを加える行為だと言われています。痛みを感じることで、背景にあるできごとや様々な気持ちを「忘れられる」「スッとする」といった感覚を得られると言われています。そのため、自分の身体を傷つけることに罪悪感を抱いていたとしても、止めることが難しいのです。
 お子さんが長袖の服ばかりを着ようとされていたということは、周りの人、特に親には知られたくない、心配をかけたくないという気持ちがあったのではないかと思います。様々な葛藤の中で、リストカットという形を取るしかなかったのではないかという点に思いをはせながら、まずは「何かあったんだろうな」「この子なりに苦しんでいるんだろうな」という姿勢で向き合っていくことが必要です。親として複雑な思いはあるかもしれませんが、「よく打ち明けてくれたね」「よく保健室の先生に話せたね」と声をかけてあげてください。もし、お子さんが嫌がらないようであれば、傷の手当てをしてあげるのもいいでしょう。そして、改めて一緒に何ができるのかを考えていきたいという思いを伝えながら、「話せそうなところから話を聞かせてほしい」という気持ちで、ゆっくりと時間をかけて本人が抱えていることに歩み寄っていくことが大切です。
 しかし、「こころの傷」の解決には時間がかかるため、リストカットを繰り返してしまうことも多いです。そうした時には、親だけで解決しようとはせずに、スクールカウンセラーや専門相談機関も利用してみてください。

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